2021 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア機能と品質管理機構から捉える重症病態の分子病態研究
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20H03785
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
宮崎 裕美 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 防衛医学研究センター 医療工学研究部門, 講師 (30531636)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大越 絵実加 青森大学, 薬学部, 教授 (10287667)
亀井 康富 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (70300829)
小野 聡 東京医科大学, 医学部, 兼任教授 (30531355)
木下 学 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 免疫・微生物学, 教授 (70531391)
齋藤 大蔵 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 防衛医学研究センター 外傷研究部門, 教授 (90531632)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ミトコンドリアダイナミクス / マイトファジー / 重症病態 |
Outline of Annual Research Achievements |
ミトコンドリアは常に分裂と融合をダイナミックに繰り返し、機能低下したミトコンドリアを選択的オートファジー(マイトファジー)によって分解・除去、新たに生合成を行い、形態、量、質などを協調的に制御している。本研究の目的は、熱傷や敗血症などの重症病態において、主要臓器や免疫細胞のミトコンドリア活性や生合成、損傷したミトコンドリアの分解排除など品質管理機構についての分子機序を明らかにすることにより、生体防御機構の破綻、長期予後の改善に資する新たな学術的基盤と治療戦略を構築することである。 3年計画の2年目では、広範囲重症熱傷と腹膜炎モデルマウスを用いて、ミトコンドリアダイナミクスおよびマイトファジー関連因子の発現変動を経時的に評価した。広範囲重症熱傷モデルでは、受傷後1、5、14日後の心臓、肝臓、腎臓に着目して評価したところ、臓器特異性を持つものの、受傷後から分裂と融合のバランス異常が生じていた。また、マイトファジーは急性期には生体防御的に一過性に亢進するが、その後減少しオートファジーフラックスが停滞傾向に向かうことが明らかとなった。マイトファジーの減少と関連するように、電子伝達系タンパク質の発現量低下、クエン酸合成酵素活性の低下が観察され、ミトコンドリアの機能低下が示唆された。一方腹膜炎モデルでは、重症度にかかわりなく比較的軽症でも急性期から回復期に至るまでミトコンドリア機能が損なわれていることを見出した。さらに、培養細胞に解糖系あるいはミトコンドリア代謝依存的な培地を用いて、天然物由来の化合物がミトコンドリア膜電位や活性酸素産生、アポトーシス、ネクロプトーシスに与える影響について評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り各侵襲モデルを用いた解析が順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の結果を基に重症病態におけるミトコンドリア機能および品質管理機構の破綻について明らかにする。さらに、遺伝子改変マウスあるいはsiRNAを用いて機能を欠損させた培養細胞の分子生物学的解析を組み合わせて、品質管理機構破綻の分子基盤の解明を目指す。
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Research Products
(6 results)