2020 Fiscal Year Annual Research Report
Overcoming castration-resistant prostate cancer targeting androgen receptor and epigenome modifications
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20H03813
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
市川 智彦 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (20241953)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金田 篤志 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (10313024)
坂本 信一 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (70422235)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 前立腺癌 / 去勢抵抗性前立腺癌 / アンドロゲン受容体 / スプライスバリアント / ヒストン修飾 / スーパーエンハンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
アンドロゲン受容体(AR)スプライスバリアント-7(AR-V7)の発現などにより、前立腺癌(PC)は、アンドロゲン除去療法下で去勢抵抗性PC(CRPC)に進行する。LNCaP(PC細胞)とLNCaP95(LNCaP由来のAR-V7発現CRPC細胞)を比較することによりエピゲノムおよびトランスクリプトーム解析を実施した。AR-V7ノックダウンによって最も抑制された遺伝子はNUP210とSLC3A2であった。NUP210とSLC3A2は、CRPC組織で有意に発現が亢進しており、それらのノックダウンにより、アポトーシスと増殖停止を介してLNCaP95の細胞増殖が有意に抑制された。これらの結果から、AR-V7は、AR/AR-V7の共通した標的とAR-V7に特異的な標的の両方を活性化することにより、CRPCの増殖に寄与することを明らかとした。これらの結果について、Transl Oncolに論文発表した。ヒストンの脱アセチル化は前立腺癌においても癌の発生に関連する異常なスーパーエンハンサー形成や遺伝子の活性化を引き起こす可能性がある。DNAのメチル化とヒストン修飾に焦点を当て、前立腺癌の発生と進展におけるエピジェネティックな変化の概要についてまとめ、Int J Urolに総説論文として発表した。悪性腫瘍の骨転移、特に骨の腫瘍微小環境における細胞外小胞(EV)の役割について最新の知見をまとめ、Int J Mol Sciに総説論文として発表した。前立腺癌の治療反応性や予後などに関連したバイオマーカーについても解析を進め、それぞれ英文誌に論文発表した。その他の泌尿器癌についても遺伝子レベルで解析を行い、それぞれ英文誌に論文発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要にも示したとおり、アンドロゲン受容体(AR)のスプライスバリアント-7(AR-V7)について解析を進め、去勢抵抗性前立腺癌における分子病態について知見を得ることができた。具体的には、LNCaP(PC細胞)とLNCaP95(LNCaP由来のAR-V7発現CRPC細胞)を比較することによりエピゲノムおよびトランスクリプトーム解析を実施した。その結果、AR-V7は、AR/AR-V7の共通した標的とAR-V7に特異的な標的の両方を活性化することにより、CRPCの増殖に寄与することを明らかとし、Transl Oncolに論文発表することができた。また、DNAのメチル化とヒストン修飾に焦点を当て、前立腺癌の発生と進展におけるエピジェネティックな変化の概要についてまとめ、Int J Urolに総説論文として発表することができた。さらに、前立腺癌の治療反応性や予後などに関連したバイオマーカーの解析、その他の泌尿器癌について遺伝子レベルで解析を行い、それぞれ英文誌に論文発表した。これらの成果により研究基盤そのものの底上げと去勢抵抗性前立腺癌の克服に向けて研究を進めることができた。研究期間の1年目でこれらの成果を達成していることから、本研究課題はおおむね順調に進展していると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
ⅰ)臨床検体採取:千葉大学医学部附属病院泌尿器科において針生検または全摘除術により採取された前立腺組織(癌部・非癌部)を収集する。既に100検体以上収集済みであり、今後も収集を継続する。また、同意を取得できたCRPCの組織も収集する。患者血清も2000年代より保管してあり、既に3000件を越えているが、今後も年間300~400検体の採取を目標とする。 ⅱ)NGSを用いた網羅的解析:LNCaP、LNCaP95細胞株を用いて各種転写因子ならびにヒストン修飾に対するクロマチン免疫沈降(ChIP)を行い、NGSを用いた網羅的解析(ChIP-seq)を行う。低酸素下での網羅的解析も同様に行う。また、遺伝子発現レベルはRNAを抽出し、NGSを用いて網羅的解析(RNA-Seq)を行う。 ⅲ)情報解析:ⅱ)で行うChIP-seqならびにRNA-seqのデータを統合し、アンドロゲン刺激前後でのFOXA1/ARの標的領域とヒストン修飾の変化を全ゲノム的に観察し、CRPCに関連するFOXA1/AR標的遺伝子群と近傍の特異的なヒストン修飾変化を抽出する。低酸素下の条件においても同様に行う。抽出された遺伝子群に対してgene ontology(GO)解析、pathway解析、gene set enrichment analysis(GSEA)などのin silico 解析を行う。上記変化を認めた領域に対するmotif 解析を行い、同領域に共役的に作用する転写因子を同定する。 ⅳ)病理学的解析や機能解析による候補遺伝子の絞り込み:ⅲ)で同定した標的遺伝子や共役的転写因子の候補について、免疫染色などの病理組織学的解析を行い、臨床検体における発現との整合性を確認する。shRNAによるノックダウンや強制発現モデルを作成し、各種機能解析(増殖・遊走・浸潤能など)を行う。
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Research Products
(14 results)
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[Journal Article] The impact of complications after initial prostate biopsy on repeat protocol biopsy acceptance rate. Results from the Prostate Cancer Research International: Active Surveillance JAPAN study2020
Author(s)
Tohi Y, Kato T, Matsumoto R, Shinohara N, Shiga K, Yokomizo A, Nakamura M, Kume H, Mitsuzuka K, Sasaki H, Egawa S, Matsumura M, Hashine K, Inokuchi J, Eto M, Baba H, Ichikawa T, Kinoshita H, Matsuda T, Kakehi Y, Sugimoto M.
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Journal Title
International Journal of Clinical Oncology
Volume: 25
Pages: 2107~2114
DOI
Peer Reviewed
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