2021 Fiscal Year Annual Research Report
Pathogenesis of age-related macular degeneration and pachychoroid neovasculopathy
Project/Area Number |
20H03841
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三宅 正裕 京都大学, 医学研究科, 特定講師 (90812793)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻川 明孝 京都大学, 医学研究科, 教授 (40402846)
杉山 治 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (40586038)
山田 亮 京都大学, 医学研究科, 教授 (50301106)
長崎 正朗 京都大学, スーパーグローバルコース医学生命系ユニット, 特定教授 (90396862)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 中心性漿液性脈絡網膜症 / パキコロイド / ゲノムワイド関連解析 / ゲノムワイド生存解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、中心性漿液性脈絡網膜症からのパキコロイド新生血管発症に関連する遺伝子についての検討結果につき論文化を行い、2021年度末時点でリバイズ中である。本論文では、脈絡膜新生血管を有さない中心性漿液性脈絡網膜症患者を対象として、脈絡膜新生血管が発症するまでの期間に対しての生存解析を、ゲノムワイドに実施し、その結果を神戸大学のデータセットで確認した。この結果、加齢黄斑 変性の疾患感受性遺伝子として知られているARMS2がゲノムワイドレベルで有意となった。追加的な解析として、過去に加齢黄斑変性との関連が過去に報告されている一塩基多型について、ゲノムワイド生存解析の結果から拾い上げたところ、複数の変異が有意な関連を示しており、それらはいずれも過去にポリープ状脈絡膜血管症との関連が指摘されているものであった。このため、中心性漿液性脈絡網膜症から発症する新生血管とポリープ状脈絡膜血管症には遺伝的なオーバーラップがある可能性が指摘された。また、パスウェイ解析も行い、イオン輸送に関連するパスウェイがenrichしていたことも分かった。 その他、中心性漿液性脈絡網膜症の疾患感受性遺伝子の探索を続けている。これに当たっては国際的な協力を進めている。京都大学・オランダ・神戸大学のデータをメタ解析し、その結果を香港・京都大学・中国の結果で再現性確認を行ったところ、一つの変異がゲノムワイドに有意な関連を示した。これは血中コルチゾールの濃度との関連が知られており、有力な感受性変異である。引き続き機能的解析を行い、論文化を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、中心性漿液性脈絡網膜症からのパキコロイド新生血管発症に関連する遺伝子についての検討結果につき論文化を行い、2021年度末時点でリバイズ中である。本論文では、脈絡膜新生血管を有さない中心性漿液性脈絡網膜症患者を対象として、脈絡膜新生血管が発症するまでの期間に対しての生存解析を、ゲノムワイドに実施し、その結果を神戸大学のデータセットで確認した。この結果、加齢黄斑 変性の疾患感受性遺伝子として知られているARMS2がゲノムワイドレベルで有意となった。追加的な解析として、過去に加齢黄斑変性との関連が過去に報告されている一塩基多型について、ゲノムワイド生存解析の結果から拾い上げたところ、複数の変異が有意な関連を示しており、それらはいずれも過去にポリープ状脈絡膜血管症との関連が指摘されているものであった。このため、中心性漿液性脈絡網膜症から発症する新生血管とポリープ状脈絡膜血管症には遺伝的なオーバーラップがある可能性が指摘された。また、パスウェイ解析も行い、イオン輸送に関連するパスウェイがenrichしていたことも分かった。 その他、中心性漿液性脈絡網膜症の疾患感受性遺伝子の探索を続けている。これに当たっては国際的な協力を進めている。京都大学・オランダ・神戸大学のデータをメタ解析し、その結果を香港・京都大学・中国の結果で再現性確認を行ったところ、一つの変異がゲノムワイドに有意な関連を示した。これは血中コルチゾールの濃度との関連が知られており、有力な感受性変異である。引き続き機能的解析を行い、論文化を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
中心性漿液性脈絡網膜症の疾患感受性遺伝子の探索に関連して、国際的な協力を進めてきた。京都大学・オランダ・神戸大学のデータをメタ解析し、その結果を香港・京都大学・中国の結果で再現性確認を行ったところ、一つの変異がゲノムワイドに有意な関連を示した。これは血中コルチゾールの濃度との関連が知られており、有力な感受性変異である。引き続き機能的解析を行い、論文化を進めていく。更には、フィンランドのグループのFinGennとのメタ解析についても提案を受けており、世界最大規模でのゲノムワイド関連解析を行うこととなる。 中心性漿液性脈絡網膜症の発症には脈絡膜の厚みが重要で、我々はかつて脈絡膜厚のゲノムワイド関連解析から感受性遺伝子を発見した。我々は現在、本邦主導でながはまスタディ、久山スタディ、Singapore Eye Epidemiology Study, Beijing Eye Studyでゲノムワイドメタ関連解析を計画しており、ここからも中心性漿液性脈絡網膜症の病態に繋がる結果が得られることが期待される。 実際の疾患発症には、ゲノムよりも更に下流のトランスクリプトームやプロテオームが重要である。このため本研究では、中心性漿液性脈絡網膜症に関連するゲノムのみならず、更に下流のプロテオームについても検討を進めていく。具体的には、京都大学附属ゲノム医学センターが構築したpQTLデータベースに基づき、中心性漿液性脈絡網膜症と正常対照のゲノムワイドデータセットからプロテオーム情報をimputeし、症例と対照でプロテオームワイドに比較を行う。実際に行ってみないと有意なヒットがあるかどうかは分からないが、実際にヒットが出た場合は、病態解明に大きくつながることが期待される。
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Research Products
(12 results)