2022 Fiscal Year Annual Research Report
シングルセル解析による口腔がんの増殖と運動・転移を司るメカニズムの解明
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20H03851
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
渡部 徹郎 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (00334235)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 口腔がん / 増殖 / 運動 / 転移 / シングルセル解析 / TGF-β |
Outline of Annual Research Achievements |
がん細胞は増殖能と運動能を獲得することで遠隔臓器へと転移するが、我々は「増殖している細胞が運動する」という通念を持っている。しかし、様々ながんの転移を誘導するTGF-βは、がん細胞の増殖を抑制しながら、上皮間葉移行(EMT)を誘導することで運動を亢進し、その相反する作用の関係については未解明な部分が多く残されている。研究開発代表者は細胞周期をシングルセルレベルで可視化できる蛍光プロープ(Fucci)を導入した口腔扁平上皮がん細胞を用いて細胞レベルならびに個体レベルの解析を進めた結果、TGF-βによる増殖と運動・転移能の制御に関する新たな知見を得るとともに、その現象を制御する実行因子の候補としてケラチン結合因子(KRTAP2-3)を同定した。そこで本研究ではKRTAP2-3による細胞増殖と運動能の制御を司る分子機序を明らかにして臨床的意義を検討することで、がん転移における新規診断マーカーならびに治療標的の同定を目指した。今年度は下記の3つの項目について研究を実施した。 (1)TGF-βによるがん悪性化と細胞周期の連関を司る分子機構の解明 (2)がん細胞の転移と細胞周期の動態の検討 (3) 臨床的意義の検討 TGF-β処理した口腔がん細胞に対してシングルセルRNAシークエンシングを施行した結果、KRTAP2-3が、既存のEMT誘導転写因子であるSlug非依存的な新規EMT経路を誘導することを見出した。また、KRTAP2-3遺伝子を欠損した口腔がん細胞の転移能が低下することをマウス舌移植モデルにより明らかにした。さらに、頭頸部がんの進展とKRTAP2-3遺伝子発現が相関することを示した。以上の結果から、今回同定したTGF-βにより発現が上昇する細胞増殖と運動・転移能を制御するKRTAP2-3子は口腔がんの新規治療標的となることが期待される。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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