2023 Fiscal Year Annual Research Report
分子疫学的コホート研究による遺伝性心血管疾患のリスク層別化・病態解明・治療薬探索
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20H03927
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
藤野 陽 金沢大学, 保健学系, 教授 (40361993)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 研至 金沢大学, 保健学系, 准教授 (00422642)
野村 章洋 金沢大学, 附属病院, 特任准教授 (30707542)
高村 雅之 金沢大学, 医学系, 教授 (60362000)
朝野 仁裕 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任准教授(常勤) (60527670)
塚本 蔵 大阪大学, 大学院生命機能研究科, 准教授 (80589151)
中西 千明 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (80623660)
多田 隼人 金沢大学, 附属病院, 助教 (90623653)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 遺伝性心血管疾患 / 拡張型心筋症 / 次世代シークエンサー / iPS由来心筋細胞 / 治療薬探索 |
Outline of Annual Research Achievements |
互いに血縁関係のない149の拡張型心筋症家系において、臨床経過を追跡した。引き続いて次世代シークエンサーにより遺伝学的検査を施行し、1家系において心筋型ミオシン軽鎖キナーゼ(cardiac-specific myosin regulatory light chain kinase, cMLCK)をコードするMYLK3遺伝子の変異c.1915-1 g>t(p.Pro639Valfs*15)を検出した。本遺伝子変異は、健常者200名の400クロモゾームにおいて検出されなかった。cMLCKは心筋細胞にのみ特異的に発現するキナーゼであり、心筋型ミオシン調節軽鎖をリン酸化することで心筋収縮性を生理的に制御することが知られていたが、ヒト心不全への関与は不明だった。そこでcMLCK活性が心不全の病態発症に及ぼす分子機序を解明すること、及び新たな治療標的分子を同定することを目的として、本変異をノックインしたマウスやiPS由来心筋細胞を作製し、心不全病態発症の分子機構を解析した。心筋においてcMLCK活性が低下すると、心筋型ミオシン調節軽鎖のリン酸化が阻害されsuper relax stateと呼ばれる心筋ミオシンII分子の割合が増加して、心筋収縮性が低下することが明らかになった。super relax stateとは、弛緩期の心筋ミオシンII分子のクロスブリッジの状態の1つである。2つのミオシン分子のATP加水分解活性部位とアクチン結合部位が阻害された状態で互いに折り畳まれた状態であるため、張力の発生に関与できない。さらに異なる原因遺伝子変異による重症心不全患者の心筋組織で検討した結果、原因遺伝子によらず、多くの重症心不全患者の心筋組織でcMLCK活性化が低下していることを発見した。結果として、cMLCK活性化剤が多くの重症心不全患者に有効である可能性を明らかにした。
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Research Progress Status |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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