2020 Fiscal Year Annual Research Report
半側空間無視者の空間動作支援のための注意喚起機能付き視覚バリアフリー機器開発研究
Project/Area Number |
20H04049
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 敏明 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任研究員 (40248670)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯島 勝矢 東京大学, 高齢社会総合研究機構, 教授 (00334384)
加藤 士雄 北海道科学大学, 保健医療学部, 准教授 (40760260)
泉 隆 東海大学, 基盤工学部, 教授 (80193374)
巖淵 守 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (80335710)
三浦 貴大 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究員 (80637075)
渡邉 高志 東北大学, 医工学研究科, 教授 (90250696)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 半側空間無視 / 空間支援 / バーチャルリアリティ技術 / 注意喚起システム / バリアフリー機器 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳卒中の後遺症の一つに視覚に障害が発生する視空間認知障害として半側空間無視(Unilateral Spatial Neglect: USN)は歩行困難や車椅子生活を余儀なくし,患者の日常生活活動(ADL)や生活の質(QOL)を後退せしめるリハビリテーション治療の重大な阻害因子となる.このような中枢神経疾患による合併症である視覚認知障害に対するリハビリテーション治療およびその機能代償・改善のためのリハビリテーション機器の開発研究は極めて少ない.特に動作中の無視状況の経時的変化はADLを支援するうえで重要な課題であり,未だ明らかにされていない.本研究は、申請者が開発した3次元視覚情報呈示装置としてHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を用い,これに動的な歩行・ADL動作時支援のための動作のセンシングを無線同期し,かつ,経時的に無視領域へ注意喚起を促すため視覚・聴覚・体性振動感覚による複合感覚フィードバック装置と眼球計測装置を搭載し、遠隔での使用を可能とする空間動作支援のための感覚フィードバックを利用した注意喚起機能付き視覚バリアフリー機器開発研究を実施する.本年度は3次元HMDと歩行・ADL動作センシング装置を同期するシステムを構築する。①3次元HMD内に搭載した眼球運動センサを用いて、本申請者が開発した3次元様立方体抹消試験法を実施した際、被験者の眼球変化を追随可能する校正手法を確立し、空間無視を有する患者3名に関して実施した。結果として、視野領域での無視が本人の近位・遠位での差または左右差の重症度に関して各被験者の特有の無視状況を明らかとした。②HMDによる多様な視覚提示として,ア)視覚情報を縮小して3次元様で提示,イ)注意を促す注意喚起用視覚刺激ターゲットを3次元様に提示することが可能となり、各被験者において適切な無視改善のための視覚提示方法を検証中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた年度課題を解決したが、被験者データ収集に関して、コロナ感染対策で病院でのデータ収集が減少したため。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、歩行・動作支援としてHMDでの視覚提示だけであったが,2021年度は、①本HMDシステムに聴覚,振動によるフィードバックを加え,どのような組み合わせであれば視覚認知障害をより改善克服できるのか分析し,動的条件である日常生活活動に応用可能とするため特に歩行を支援可能とするHMDシステムを構築する.フィードバックの有効性に関して,視覚,聴覚,体性振動の感覚刺激の3条件の組み合わせによる動的条件下での歩行等での改善度を計測分析する.なお,HMD による歩行・ADL訓練支援の効果検証として,空間無視患者で自立した歩行が可能である患者に対してHMD の有無での平地歩行を行い,先行研究で開発した歩行アプリにより歩行動作分析により効果を分析する.②加えて、HMD使用時の脳機能活動を分析する.近赤外分光法(NIRS: nearinfrared spectroscopy)を用いて①の条件下で脳の賦活領域を計測分析し機能局在を明らかにする.特に、空間無視検査時おける末梢試験での探索活動に重要である前頭葉を中心に脳の賦活領域にどのような影響をもたらすかを計測分析する。
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Research Products
(6 results)