2021 Fiscal Year Annual Research Report
発育期・成人期の食習慣によるGene bodyエピゲノムの撹乱と代謝疾患発症
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20H04103
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
望月 和樹 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (80423838)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 千裕 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教 (50778842)
佐藤 憲子 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (70280956)
針谷 夏代 山梨学院大学, 健康栄養学部, 准教授 (80732784)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ヒストンアセチル化 / Gene body / 胎生期 / 生後高脂肪食 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 着床前2細胞期胚を通常培地であるKSOM培地およびαMEM培地にて48時間体外培養したのち仮親ICRマウスの子宮に戻し、産まれた仔マウスをそれぞれ対照マウス(対照群)、MEMマウス(MEM群)とした。離乳後58日間の高脂肪食投与後、AIN93Gベースの低ショ糖高脂肪食を10週間投与した。その結果、MEMマウスは軽度肥満で食後高血糖を示し、線維化増大およびTGFB高発現を伴って脂肪肝病態を示した。さらに、MEMマウスでは、肝臓における脂肪蓄積関連遺伝子であるCideaのmRNA発現量およびGene bodyやPromoter /enhancer領域のH3およびH4のヒストンアセチル化量の増大が観察された。また、末梢血白血球における炎症性サイトカインのmRNA発現はMEMマウスで高値を示すことが明らかとなった。 2. 妊娠期に糖質制限に暴露されたマウスの末梢血白血球では、炎症性サイトカインTNFα mRNAの増大傾向、タンパク質制限に暴露された仔マウスでは、炎症性サイトカインを発現誘導させるS100a8 mRNAの増大が観察された。 3. 肝実質細胞様HepG2細胞を高グルコース培地で培養後、24時間各種脂肪酸を投与し、代謝遺伝子の発現量をqRT-PCR法とそれら遺伝子周辺のヒストン修飾をクロマチン免疫沈降法によって調べた。その結果、高グルコース環境下での培養において、1,000 µMのカプリン酸(C10)を投与すると、糖・脂質代謝に関連する遺伝子のmRNAの発現、これら遺伝子Gene body周辺のヒストンH3K36メチル化の増大もしくは増大傾向が確認された。 4.糖尿病MEMマウスに大麦食(対照は米粉食)を投与すると、脂肪肝炎が改善されるとともに、肝臓中および末梢血液中の炎症性サイトカインなどの炎症関連遺伝子群の発現が低下、もしくは低下傾向にあることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生前、生後の環境によるGene bodyの撹乱および撹乱を反映する血中バイオマーカーの探索を行えたため。
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Strategy for Future Research Activity |
1.フラクトオリゴ糖による腸バリア機能の改善:小腸様Caco-2細胞にフラクトオリゴ糖を投与することによって、タイトジャンクションに関与するクロージンタンパク質が増大する知見をすでに得ている。そこで、フラクトオリゴ糖を投与したCaco-2細胞において、mRNAマイクロアレイを実施し、フラクトオリゴ糖で増大する遺伝子を網羅的に探索するとともに、増大した遺伝子に対してGene bodyのヒストン修飾が変動するかを調べる。 2.2型糖尿病NSYマウスの肝臓、脂肪組織、小腸、大腸等の代謝臓器の代謝等に関与する遺伝子発現が、2型糖尿病を発症しないICRマウスと比べ、違いがあるかを調べるとともに、代謝等の遺伝子発現変化とそれら遺伝子のGene bodyのヒストン修飾が関連するかについて調べる。さらに、NSYマウスにフラクトオリゴ糖を投与し、2型糖尿病・合併症、さらに代謝遺伝子の発現およびGene bodyのヒストン修飾異常が改善されるかを調べる。さらに代謝臓器の代謝等関連遺伝子の発現およびそれら遺伝子のGene bodyのヒストン修飾異常が末梢血白血球における炎症関連遺伝子とmRNA発現と関連するかを調べる。 3.胎生期に低タンパク質栄養に暴露されたマウスにおいて、骨格筋、肝臓、脂肪組織などの代謝遺伝子のmRNA発現が変化するか、またその変化にGene bodyのヒストン修飾が関与するかを調べる。さらに、胎生期低タンパク質栄養に暴露された離乳後のマウスに中鎖脂肪を投与し、それら遺伝子の発現が正常化するか、それら遺伝子の発現の正常化にGene bodyのヒストン修飾が関与するかを調べる。さらに、末梢血炎症関連遺伝子の発現を調べ、各臓器の代謝遺伝子のGene bodyの遺伝子発現変化と関連するかを調べる。
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Research Products
(16 results)