2020 Fiscal Year Annual Research Report
Pyrogenic iron: Source attribution of atmospheric bioaccessible iron supplied to the Pacific Ocean
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20H04329
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
伊藤 彰記 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(環境変動予測研究センター), 主任研究員 (00419144)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮川 拓真 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(地球表層システム研究センター), 副主任研究員 (30707568)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 地球環境変化 / 鉱物ダスト / 森林火災 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、異常気象により引き起こされた大規模森林火災に関心が集まっている。本研究では、オーストラリア沿岸地域における大気エアロゾル観測結果に基づいて、エアロゾル鉄溶解率の評価を行った。その際、全球エアロゾル化学輸送モデルへ逆推定モデルを適用することで、大気中の鉄濃度を観測データとよく一致するように鉱物起源鉄発生量を推定した。その結果、オーストラリア付近での観測期間・地域において,逆推定モデル結果は鉱物起源と比較して、植生燃焼が主要な溶存鉄発生源となることを示唆した。このことは、従来の予測値よりも逆推定モデルでは鉄溶解率の高い燃焼起源鉄の溶存鉄濃度への寄与率が高いことを意味する。また、植生燃焼起源は微小粒子が、鉱物起源は粗大粒子が主な溶存鉄の供給粒径として推定された。しかし、南大洋においてモデルは溶存鉄濃度を過小評価した。そのことからモデルで考慮されていない発生源や発生過程が存在すると考えられた。特に、南大洋域では、観測データ数としては少ないながらも、モデルでは再現できないほど、エアロゾル中で高い溶存鉄濃度を示す観測データが得られている。一方、中国における観測結果から、霧の気象条件下でモデルが鉄溶解率の観測結果を過小評価することが判明した。そのため、様々な気象条件下での海洋大気における溶存鉄の動態に関する理解を深める必要がある。 観測に関しては、標準試料を用いて、微量金属および水溶性鉄濃度を測定した。高時間分解能で、粒径分割された条件でエアロゾルを捕集できるように大気取り込み口を改良した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症による影響で、分級インレット特注製作仕様検討に不可欠な業者との調査・議論が繰越事業となり、発注と試験は時期が遅れて完了した。そのため、その後の大気試料を測定する時期が当初予定より遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
多元素エアロゾル輸送モデルを開発し、鉄溶出手法を高度化する。神奈川県横須賀市を中心に、自然起源・燃焼起源エアロゾルを対象として観測装置を設置し、蛍光X線分析により多元素を高時間分解能で測定する。
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Research Products
(12 results)