2020 Fiscal Year Annual Research Report
Research Related to the Formation Process of Ethnic Chinese Settlements on the Sea in the Malay Peninsula and the Transformation and Inheritance of Dwelling Culture
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20H04477
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Research Institution | Kobe Design University |
Principal Investigator |
長野 真紀 神戸芸術工科大学, 芸術工学研究科, 准教授 (10549679)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今村 文彦 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 名誉教授 (50213244)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 移民集落 / 華人 / 水上住居 / 水辺 / 土地利用 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度はコロナ禍での渡航が困難であり、現地での調査、文献収集など十分な研究活動を行うことができなかった。そのため、インターネットによる文献調査、関連分野の情報収集を中心に研究をすすめた。その結果、当該調査地を主題とした論文、学術的情報はそれほど多くないことが明らかとなった。前年度までに入手していた地図資料をデータ化し、衛星写真を併用しながら7集落の配置図を作成した。 令和3年度は比較研究のため、国内調査(京都府伊根、熊本県崎津)を実施した。伊根では、穏やかな内海が広がる伊根湾の沿岸に位置する7集落・約230軒の舟屋の配置と、海に面した建物の空間構成、母屋と舟屋の空間的つながりを調査した。崎津には「カケ」と称する、海辺の海上に設置された作業場所が点在する。生活そのものがカケで行われているわけではないが、海(水)との親和性が強く意識される装置であり、漁業に使う道具の補修場や漁船の停泊地として使われている。また、土地が狭く民家が密集した地域ならではの空間「トウヤ」の機能を見ることができた。両地域の空間特性や写真データは、研究対象地域の比較資料として扱っていく。 令和4年度は海外渡航可能となり、8月に第1回目の現地調査を実施することができた。住居の実測、撮影、ヒアリング調査を中心に行い、現地の大学図書館にて重要参考資料となる論文を閲覧・複写した。次年度以降、翻訳をすすめていく。世界遺産機構事務所にて打合せを行い、当該地域の歴史的経緯や建設許可、土地利用などに関する情報を収集した。また、7集落の空撮を実施し、海と陸との関係を見ることと合わせて周辺エリアを含めた居住環境を理解することができた。シンガポール国立図書館で入手した古地図や関連資料とともに、分析資料として扱っていく。1月には拜天公に参加し、祀りの様子を撮影・記録しながらヒアリング調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍のため令和2年度、3年度はマレーシアでの現地調査を実施することができなかった。令和4年度に当該年度の課題について一部、現地調査を実施することができたが、コロナ禍の過密対策により人数制限や調査時間の短縮などが発生した。 世界遺産指定以降、社会学や観光学関連の研究成果が増加しているが、本研究が対象としている住環境学、生活学、民俗学領域の研究、報告は少数であり、インターネットの情報だけでは、やや情報が不足している。また、研究分担者が研究対象とする経済的に成功しなかった下層移民(苦力)の南洋移民史に関しては、ペナン島への言及は多いものの本研究と深く関連する研究を見出すことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も新型コロナウイルス感染症による行動制限、渡航制限の継続が予想されるが、オンラインで行われる研究会や学術発表会に参加しながら、類似研究の動向を探る。海外現地調査が実施できなかった令和3年度分の未使用額も多いが、現地調査のタイミングと期間をはかりながら研究を進展させる。
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