2020 Fiscal Year Annual Research Report
Inter-brain interaction undertaking communication - hyper-scanning study by dual magnetoencephalographies
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20H04496
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
横澤 宏一 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (20416978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齊藤 卓弥 北海道大学, 大学病院, 特任教授 (20246961)
柳生 一自 北海道大学, 大学病院, 特任助教 (90597791)
小野 弓絵 明治大学, 理工学部, 専任教授 (10360207)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | コミュニケーション / ハイパースキャニング / 脳磁計 / 脳間相関 / 情動 / 言語 / 非言語 / 音楽 |
Outline of Annual Research Achievements |
コミュニケーションは特に人類において発達した社会的行動の基礎をなす。本研究の第1の目的は、その神経基盤を明らかにすることである。このため、ミリ秒レベルの時間分解能と数ミリメートル程度の空間分解能を併せ持つ脳磁計を2台、光ファイバーで連結したDual MEGを用い、コミュニケーション中の脳活動の同時記録(ハイパースキャニング)を実施してきた。音響・映像機器により2人の実験参加者は仮想的に対面でき、自然なコミュニケーションが可能である。 コミュニケーションには言語コミュニケーションと非言語コミュニケーションがある。実際のコミュニケーションは、これらが複合し絶え間なく入れ替わる極めて複雑なプロセスである。そこで本研究は、非言語コミュニケーションと言語コミュニケーションを個別に実験、解析したのち、統合するというプロセスで推進中である。 これまでは主に非言語コミュニケーションに着目した研究を実施してきた。相手と実時間で対面している場合(実対面映像)と、少し前に録画した映像(録画映像)と対面している場合の脳活動を比較した。その結果、実験参加者は実対面映像と録画対面映像をほとんど区別できないが、実対面している場合に特異な活動が右前頭脳領域に生じることを見出した。つまり、人の意識に上らない脳活動が非言語コミュニケーションを成立させている可能性があることがわかった。一方で、この課題のようにコミュニケーションが明示的ではない場合、コミュニケーションの成立を定義するのが難しいことが明らかになってきた。コミュニケーションが成立した瞬間をとらえないと脳の機能領野間の相関・因果関係を解析することが難しい。以上が初年度の成果と、新たに明らかになった課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非言語コミュニケーションの課題で一定の成果を挙げ、今後の課題を明らかにした一方で、言語や音楽によるコミュニケーションについても着手し、準備を進めている。2020年度は新型コロナウィルスの影響で成果発表がやや低調であったが、2021年度に開催される複数の学会で本テーマに関わるシンポジウムを企画し、採択されている。以上の状況から順調と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目となる2021年度は、コミュニケーションの成立がより客観的に評価しやすい言語コミュニケーションや音楽的コミュニケーションに重点を移す。これによりコミュニケーションの成立を指標化し、指標との相関関係からコミュニケーションの神経基盤や、2人の脳の機能領野間の相関・因果関係を解析する。 実験は引き続き北海道大学のメンバーが実施する。解析には明治大学とHEC Montrealのメンバーも加わる。Dual MEGの基本構成に関して論文化するとともに成果を学会等で発表する。複数の学会でシンポジウムを企画し、採択されているので、その議論に基づいてさらに研究内容をブラッシュアップする。 さらに本研究の第2の目的であるコミュニケーションの神経基盤に与える情動(快/不快)の影響についての検討を本格化する。情報端末を介したコミュニケーションでは、リアルタイム性のみならず情動情報が多く欠落している。コミュニケーションと情動との関係についての知見は、情報端末を介したコミュニケーションが人に与える影響を検証するための基盤となる。
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Research Products
(41 results)