2020 Fiscal Year Annual Research Report
体内時計の評価系の開発と光応答の理解によるヒト体内時計を光で調節する系の基盤確立
Project/Area Number |
20H04565
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Research Institution | Komatsu University |
Principal Investigator |
平山 順 公立小松大学, 保健医療学部, 教授 (90510363)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野川 雅道 公立小松大学, 保健医療学部, 准教授 (40292445)
古澤 之裕 富山県立大学, 工学部, 准教授 (80632306)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 体内時計 / ウェアラブルセンサ / 生体信号 / 静脈血酸素飽和度 / 深部体温 / 細胞時計 / ゼブラフィッシュ / 光 |
Outline of Annual Research Achievements |
体内時計は、睡眠といった多様な生理機能に日周変動を作り出し、その変動の位相(時刻)を外環境に同調させる恒常性維持機構である。この制御には、体内時計自体の時刻が光情報を利用し、自然界の昼夜の変化に同調(光同調)することが必須である。要介護者と高齢者では、体内時計の光同調が不安定になり易いため、睡眠障害や意識障害といった病態が頻発する。この解決策として、在宅で簡便に使用できるヒト体内時計を調節する系が強く求められている。本年度の研究は、1)簡便なヒト体内時計の評価系を開発すること、および2)有益なヒト疾患研究モデル生物であるゼブラフィッシュを用いて、体内時計の光同調の分子機構を解明することを目指した。 在宅使用できるヒト体内時計の評価系の構築には、被験者自身が簡便に計測できかつ体内時計に依存する生体信号が必要である。本年度は、静脈血の酸素飽和度と深部体温がこの生体信号に適すると考え、ウェアラブルセンサを用いてSvO2と深部体温を計測する系の構築を進め、一部の計測に成功した。 細胞時計の光同調機構を分子レベルで解明するためには、実験モデル生物が必要である。これまでの研究は、ヒトと共通の体内時計とその光制御の機構をもつゼブラフィッシュを用いて、体内時計の光同調が破綻したゼブラフィッシュの作出している。またこの個体の解析から体内時計の光同調の候補制御分子を、複数同定している。本年度の研究は、これら候補分子を破壊した遺伝子改変ゼブラフィッシュの作出と作出した個体の個体レベルの体内時計の解析を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト体内時計の評価系の構築については、当初の計画通り、静脈血の酸素飽和度と深部体温をウェアラブルセンサを使用して計測する系の構築が問題なく進んだ。また、ゼブラフィッシュをモデル動物とした体内時計の光制御機構の理解については、これまでの研究で選定している体内時計の光同調を制御し得る候補分子を破壊した遺伝子改変ゼブラフィッシュの作出が進んでいる。また、作出した個体の一部に関しては、行動量の日周変動(行動リズム)を指標として、個体レベルで体内時計の評価を開始できている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、静脈血の酸素飽和度と深部体温の日周変動の計測を進めていく。また計測した日周変動が体内時計に依存しているかを、分生物学的な解析を用いて検証する。また、ゼブラフィッシュを用いた体内時計の光制御に関する研究は、作出した遺伝子改変ゼブラフィッシュの行動リズムの解析を進める。体内時計の構成単位は、生物の各細胞に内在する細胞時計である。今後は、この作出した遺伝子改変ゼブラフィッシュの細胞時計を解析し、遺伝子改変個体で破壊した分子の体内時計の制御における役割の細胞レベルでの理解を目指す。
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