2021 Fiscal Year Annual Research Report
Compensatory contribution of linguistic and social factors for early language acquisition: Cross linguistic study between European and Asian languages
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20H05617
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
馬塚 れい子 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 客員主管研究員 (00392126)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
窪薗 晴夫 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 理論・対照研究領域, 教授 (80153328)
酒井 弘 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (50274030)
小磯 花絵 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 音声言語研究領域, 教授 (30312200)
田中 章浩 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (80396530)
宇都木 昭 名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (60548999)
川原 繁人 慶應義塾大学, 言語文化研究所(三田), 准教授 (80718792)
辻 晶 東京大学, ニューロインテリジェンス国際研究機構, 講師 (30850490)
石原 尚 大阪大学, 工学研究科, 講師 (90615808)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2025-03-31
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Keywords | 言語獲得 / 音声発達 / 語彙発達 / 言語比較 / 乳幼児実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は本課題2年目であったが、特に前半はデルタ株やオミクロン株の感染が確認された時期で、首都圏では緊急事態宣言が3回、蔓延防止等重点措置が2回発出されるなど、乳幼児を対象とする実験の実施は厳しい状況が続いた。しかし、9月頃からは行動制限は徐々に緩和され、日本やフランスなど一部の国では感染対策を施したうえであれば、限定的な実験を実施することも可能となってきた。そのため、国内外の共同研究先とオンラインでの議論を重ね、それぞれの国の制限下でも実施可能な研究活動を検討し、以下の4項目を実施した。 ① Zoom のWebinar 機能を利用して、本課題のテーマに沿ったオンラインの講演会(JEWEL Seminar)やシンポジウムを開催し、発達研究を国際的な枠組みで進めることの重要性を広める活動を実施した。21年度には5件のJEWEL Seminarと無意識の偏見についてのシンポジウムを開催した。また、国際発達心理学会が主催した、発達心理学研究の国際化を目指すシンポジウムでの招待講演を行い、欧米以外の国の研究者が研究成果を発表する際に直面する課題等について議論した。 ② 9月以降は、感染対策に注意しながら限定的な規模での実験も可能となったため、各国の共同研究先と協力して、予備実験が必要な実験については代表者の研究室で予備実験を開始し、その結果をみながら本実験で使う実験条件の確定や刺激の準備などを行った。 ③ コロナ禍の特殊な状況を逆手に取った実験を実施した。コロナ禍では、母親や他の大人がマスクの着用して乳児に話かける機会が増加したことを利用して、話者の口元が見えないことが乳児の単語の学習に及ぼす影響を調べる実験を実施した。 ④ 各国のラボが保有する既存のデータを利用し、本課題のテーマに沿った解析を実施し学会で発表したり論文として投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度も、特に前半はコロナ感染症の蔓延により緊急事態宣言等による行動制限がありラボに被験者を呼ぶ実験や、海外渡航は困難で、共同研究先のメンバーの来日や日本のメンバーの渡航はキャンセルを余儀なくされた。
9月以降は、感染対策のための制限はあるが、少なくとも代表者の研究室では被験者を呼んでの実施の許可も得られたため、本実験の準備を開始した。しかし実験に使用する刺激の選定、録音、録画、実験プログラムの作成、その実装など各実験毎に準備する必要があり、本来は国内メンバーや国際メンバーが互いにラボを訪問して現地で確認しながら進めることを想定した作業であった。しかし、その作業をオンラインで進めることになったため、刺激やプログラム等に問題が発生しても気づくのが遅れ、実験によっては刺激の作成や予備実験まで何度もやり直すこともあり時間がかかった。
本来であれば、21年度の後半までには本実験が開始しているはずであったが、一部でも本実験を開始できたラボは限られており国による進捗のばらつきが懸念される。
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Strategy for Future Research Activity |
21年後半には感染対策のための制限はあるものの、乳児を対象とした実験が可能となった研究室も出てきた。しかし、残りの3年間を最大限に活用して効率的に実験を実施するため、当初の計画を一部変更して研究を進める。
① 当初計画していた実験のうち、7ヶ月児を対象として実施する予定であった語順学習の実験と、脳波を使った音声の切り出し実験は中止する。語順学習実験は、どの言語を学ぶ乳児も達成可能だと予想される、確認実験であるため、中止しても全体の成果の解釈に影響はない。また、脳波実験は乳児の単語切り出し課題の際の脳波を計測する目的で計画されていたが、脳波実験では、乳児の頭部に電極を装着する必要があり、コロナ感染症対策で必要とされる乳児と実験者が充分距離をあけて実験を実施することが難しいため、中止もやむを得ないと判断した。しかし、単語の切り出し課題は行動実験でも実施する予定であるため研究全体に及ぼす影響は少ないと思われる。 ② 共同研究先の国や大学によってコロナ禍の影響の程度が異なり、研究の進捗にばらつきが出てきた。感染対策と徹底して比較的早く実験の再開が可能になった代表者の研究室に対し、2021年度末時点で教員もキャンパスに立ち入りの制限が続いていたタイのタマサート大学や、制限自体は緩和されても被験者の募集に応える母子が極端に減りラボでの実験がほぼ中断しているカナダのサイモンフレーザー大学など様々である。タイでは、タマサート大学以外で共同研究先を見つけることは不可能であるが、英語を学ぶ乳児を対象とする実験はサイモンフレーザー大学以外でも可能であるので、特に被験者を見つけるのが困難な5ヵ月児を対象とした音素弁別実験は米国メリーランド大学の、Jeffrey Lidz 教授の研究室で分担してもらうことした。
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Research Products
(40 results)