2022 Fiscal Year Annual Research Report
メルロ=ポンティを手がかりとした現代における哲学者のエートスの探究
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20J00448
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
佐野 泰之 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 現象学 / 実存主義 / フェミニスト現象学 / 生き方 / メルロ=ポンティ |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は大きく分けて二つの研究に取り組んだ。 1)日本現象学会第44回研究大会での発表において、昨年度の「フェミニスト現象学」に関する研究をさらに発展させ、現象学の中心的方法である「現象学的還元」が現代のフェミニスト現象学においてどのような役割を果たしているかを考察した。その結果、還元はわれわれの経験を暗黙理に規定している既存の社会的・歴史的規範から批判的な距離を取る努力という実践的意義をもちうるという洞察を得た。この研究は、近年で国内でも注目を集めつつあるフェミニスト現象学の方法論を明確に定式化することによってフェミニスト現象学の意義を明らかにするとともに、経験の被構築性をめぐる現象学とポスト構造主義の間の論争を調停する独自の展望を提示することができた。 2)メルロ=ポンティの言語論やフェミニスト現象学に関するこれまでの洞察を踏まえながら、それらが教育や研究の具体的場面においてどのような行動指針を与えうるかを、文章表現の指導や異分野コミュニケーションといった事例に即して考察した。こうした考察を通して、現代における「生き方」の問題を考えるにあたって現象学やメルロ=ポンティの言語論が、既得の知識を超えるものへと自らを開いていくための具体的な方法をさまざまな仕方で例示しており、この点で重要な貢献をなしうるという見通しを示した。これらの成果の一部は「時間・空間と想像力」研究会における報告やナカニシヤ出版から刊行された書籍『〈京大発〉専門分野の越え方』の中で発表した。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(3 results)