2020 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯半乾燥地における侵略植物由来のバイオ炭を用いた持続可能な集約化
Project/Area Number |
20J13165
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
関 真由子 東京農工大学, 大学院連合農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | 熱帯半乾燥地 / 土壌炭素動態 / 微生物活性 / 土壌炭素収支 / 炭素利用効率 / 微生物群集 / 持続可能性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、土壌劣化の進む熱帯半乾燥地の南インドにおいて、侵略植物から作成したバイオ炭を用いて有機物分解の抑制による持続的な土地管理法の構築を目指すものである。 初年度である2020年は、まず、新型コロナウイルスの影響で、継続して行っていた圃場試験を中断し、バイオ炭の施用が土壌微生物活性と炭素収支に与える影響(課題1)についての2年半に渡る現地圃場試験の結果をまとめた。結果としては、①試験開始時のバイオ炭施用により2年半の土壌炭素収支は正となり、土壌炭素蓄積も維持されたこと、②バイオ炭と堆肥の同時施用を行った場合、施用後の数か月間、堆肥のみを施用した場合と比べて微生物活性が減少し、それに伴って有機物分解も減少した結果、効率良く土壌炭素蓄積が起きたことが判った。これらより、2年半にわたる圃場試験の結果、バイオ炭施用は当地域において土壌劣化を防止するのに持続的な土地管理であることが示されると同時に、堆肥との同時施用も土壌炭素蓄積という観点ではより有用な土地管理であることも示された。 さらに本年度は、計画時の課題2にあたる、バイオ炭と堆肥の施用が土壌微生物群集と炭素利用効率に与える影響を解明する培養実験に向けて、土壌調整等の準備と予備実験を行った。予備実験では、微生物の炭素利用効率を測定する際に必要となる、水分条件と培養時間の決定を行った。炭素利用効率は、13Cグルコースの添加・培養により、微生物の呼吸量と増加量を測定し、算出するため、水分条件と培養時間の決定は重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響で、試験地であるインドへの渡航が困難となり、現地で継続していた圃場試験を中断すると同時に、予定した土壌調査や新規の土壌サンプリングを行うことができなかった。しかし、圃場試験に関しては計画期間の8割が遂行済みであったため、期間を短くすることで結果をまとめる形となった。新規の土壌サンプリングに関しては、課題2にあたる培養実験の計画変更をし、施肥管理の異なる処理区の数を減らすことで対応した。いずれにしても、最終目的を達成するには問題のない範囲で変更、対応に至ったと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度に実施した予備実験の結果を踏まえ、培養実験の本実験を実施し、バイオ炭と堆肥の施用が土壌の微生物群集と炭素利用効率に与える影響を解明する。
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Research Products
(3 results)