2020 Fiscal Year Annual Research Report
新規スパースラベル法を用いた生体リズム維持形成の基盤となる神経回路構造の解明
Project/Area Number |
20J23361
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森安 大地 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
|
Keywords | 視交叉上核 / 神経回路 / 体内時計 |
Outline of Annual Research Achievements |
視交叉上核(SCN)は細胞間の同期と演算を介して、体内時計の機能を創出している。しかし、体内時計機能に重要なSCNの神経回路構造を明らかにする研究は全く進んでいない。このような中、申請者はSCNにおいて中心的な役割を果たすアルギニンバソプレシン(AVP)陽性ニューロンと血管作動性腸管ペプチド(VIP)陽性ニューロンに着目し、その神経回路構造を解明しようと計画した。しかしSCNは非常に密な構造を持つため、既存の技術では、神経回路を可視化し、捉えることは困難であった。この問題を解決するため、申請者は新規低密度ラベル法の開発を試みた。まず申請者は、従来の低密度ラベル法を改良し、Creリコンビナーゼ発現細胞の一部でのみ目的遺伝子を発現する手法の開発に取り組んだ。蛍光タンパク質を発現させることで目的の低密度ラベルが実現されているかどうか調べたところ、期待通り、Cre陽性ニューロンの一部のみが蛍光タンパク質で標識されていた。今後、この手法をAVP-Creマウスおよび、VIP-Creマウスと掛け合わせることで、SCN内におけるAVPニューロンおよびVIPニューロンの投射およびシナプス形成についての微細な解析が可能になると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SCNにおけるAVPおよびVIP陽性ニューロンの神経回路構造を解明するためには、低密度ラベル法の開発は必要不可欠である。今回申請者は、Creリコンビナーゼ発現細胞の一部でのみ目的遺伝子を発現する手法の妥当性を確認することができた。この原理を用いることにより、SCNにおけるVIP、AVP陽性ニューロンのより詳細な形態的解析が容易となる可能性がある。このように研究計画は順調に進んでいるといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和2年度に確認できた低密度ラベル法の原理を用いて、さらに精度の良い方法の開発を目指す予定である。またさらに、これに並行して、SCNのAVP陽性ニューロンとVIP陽性ニューロンの軸索がどこへと投射し、シナプスを形成しているかについてまずは従来的な方法を用いて定性的解析を行い、それぞれのニューロンに特有な神経回路構造の特徴を探索する。さらに、本法の応用可能性を広げるため、SCN以外の神経回路や機能についても今後着目していく予定である。
|