2023 Fiscal Year Annual Research Report
A study on ethical expertise of professionals
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20K00012
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
田中 朋弘 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 教授 (90295288)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 徳 / 技能 / 技能からの類推 / 倫理的熟達性 / 徳の統一性 / 説明可能性 / 自己秘匿性 / 専門職 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、中心となる問いを「専門職の倫理的熟達性とは何か」と設定し、それに答えることを目指す。そのために、徳倫理学における徳と技能(およびその熟達性の類比論)について検討した。そのためにまず、初年度(2020年度)には、アナス(Annas J.)によるプラトン的な徳の熟達性に関する議論(Annas 1995)をとりあげて検討を行った。さらに二年目(2021年度)は、アナスの解釈に対していくつかの疑問を投げかけたスティクター(Stichter, M.) の論文(Stichter 2007)を取り上げて、そのアナス批判を検討し、批判の妥当性を認めた。三年目(2022年度)には、アナスがさらに議論を展開した『徳は知なり』(Annas 2011)における、徳に関する「技能からの類推」概念の検討を中心に行った。アナスは、自分の(Annas 1995)を元にしているが、(Stichter 2007)の批判を踏まえて、複数の点で解釈を変え、展開している。四年目(2023年度)である本年度は、スティクターの『徳の熟達性-道徳的・認識的生の改善』(Stichter 2018)を中心に検討した。さらに、アナス(Annas 2011)とスティクター(Stichter 2018)の議論を比較検討し、両者の議論における合意点と相違点を確認した上で、徳と技能の関係をどのように考えるべきなのかを探った。専門職における倫理的熟達性について考察するために、徳と技能の関係について検討したが、最終的にそれらが個別の専門職においてどのように展開されるべきかについてまで明らかにすることはできなかった。しかし、そのために必要な基礎的な検討は一定程度実現できた。
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