2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K00037
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
鈴木 祐丞 秋田県立大学, 総合科学教育研究センター, 助教 (90749623)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須藤 孝也 跡見学園女子大学, 文学部, 兼任講師 (30749809)
柳沢 貴司 東亜大学, 人間科学部, 教授 (40341250)
藤枝 真 大谷大学, 文学部, 准教授 (80351245)
吉田 敬介 学習院大学, 文学部, 助教 (50847720)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | キェルケゴール / 実存哲学 / 実存主義 / 宗教哲学 / キリスト教 / 日記 / デンマーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、(1)キェルケゴールの日記を邦訳、出版することで日記へのアクセス性を高めること、(2)日記を活用したキェルケゴール研究を日本において本格的に起動し、キェルケゴールの思想の全体像を浮かび上がらせること、(3)その研究成果を広く発信することで、より精密なキェルケゴール理解を一般化させることである。(1)から(3)の目的の達成のために、11名の研究者が協働し、5つの分会を組織して研究を進める。 2020年度は、第1分会から第4分会を始動させ、2022年度以降に日記の邦訳作業に実際に着手するための準備作業を、分会を基本単位として進めた。具体的には、第1分会から第4分会に属する各研究者は、自分の邦訳担当範囲の日記エントリーの精読を進めつつ、邦訳版に収録すべきエントリー(全体の35%程度の見込み)を決定するために、それぞれのエントリーについて、「既存の邦訳著作全集等(白水社、創言社、新地書房)では知ることのできなかったキェルケゴールの生と思想の(要点の)理解に寄与しうるか」を中心的な基準として、評価作業を行った。この作業を進める中で各分会は適宜ミーティングを開催し、進捗状況の確認や、問題点の発見・解決などを行なった。年度末には分会長ミーティングを開催し、全体の進捗状況などを報告し合うとともに、次年度の行程等について合議した。 また、2020年度中に、こうした日記邦訳準備作業を通じて新しいキェルケゴール理解がすでにいくつかもたらされ、数名の研究者がそれを論文や学会発表などの形で公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度に始動予定の第5分会を除く第1分会から第4分会については、日記エントリーの評価作業に、2020年度、2021年度の二年間を費やす予定である。2020年度はおおよそ計画通りの進捗状況であり、2021年度中には評価作業はおおむね完了できる見込みである。 本研究は当初、12名の研究者による協働体制としてスタートしたが、2020年度中に1名(第3分会)の欠員が生じた。他の11名のメンバーが協力しあうことで、欠員を補充せずとも欠員分の作業をカバーできる目途が立った。ただしその関係で、第3分会の評価作業は当初予定より半年ほど遅らせる必要が生じ、2022年10月ころ完了の見込みである。なお、第3分会の邦訳作業の行程は当初の予定通りとし、2024年3月末ころまでの完了を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度も引き続き、第1分会から第4分会について、日記エントリーの評価作業を進める。年度末に開催する分会長ミーティングにおいて、ひとまず第1、2、4分会については、邦訳版に収録するエントリーの最終決定がなされる予定である。(上述の通り、第3分会については2022年度中ごろにずれ込む。) 2022年度以降に各分会は逐次実際の邦訳作業に入る予定であり、2021年度末までに、訳語や日本語表記法の統一のための作業など、そのための準備を整えておく。 これらの日記邦訳、出版のための作業と並行し、各研究者は、日記から得られる新しいキェルケゴール理解に関して研究を進め、その成果の発表を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の流行拡大の影響により、対面でのミーティングが困難となり、旅費予算が未使用となったことから、次年度使用額が生じた。2021年度は、ミーティングは基本的にオンラインで行い、それにより浮いた予算は書籍を中心とする物品費に充てる予定である。
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Research Products
(5 results)