2020 Fiscal Year Research-status Report
神・仏・天共存の原理に関する倫理学的研究―日本思想の基軸の解明―
Project/Area Number |
20K00038
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
吉田 真樹 静岡県立大学, 国際関係学部, 准教授 (20381733)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上原 雅文 神奈川大学, 国際日本学部, 教授 (30330723)
柏木 寧子 山口大学, 人文学部, 教授 (00263624)
栗原 剛 山口大学, 人文学部, 准教授 (50422358)
木澤 景 静岡県立大学, 国際関係学研究科, 准教授 (60796225)
上野 太祐 神田外語大学, 外国語学部, 講師 (30835012)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 基軸 / 神 / 仏 / 天 / 愚管抄 / 八幡宇佐宮御託宣集 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者・吉田は、和辻倫理学や仁斎学から人倫の思想、近松心中物から実存の思想を類型化して抽出するとともに、『八幡宇佐宮御託宣集』解読のために、記紀の神祭祀から神仏習合原理の原型とみられる「神祀りの二重化」を抽出した。成果として編著書1冊を公刊、研究会発表1本を行った。 研究分担者・上原は、記紀神話以前の神観念の原理を改めて整理すると共に、それが『古事記』と『日本書紀』でそれぞれどのように受け継がれ、また変容したのかを考察し、基軸としての神観念の二重性を抽出した。そして中世の多様な神仏関係をその二重性の展開として解明すべく試みた。 研究分担者・柏木は、中世における仏観念について『今昔物語集』天竺部釈迦仏伝に基づき考察した。とくに巻第二譬喩譚および巻第三救済譚の読解から、釈迦仏による衆生教化の核心は、仏による衆生各々の因果の対象化(観取・説話化)にあるとの見通しを得た。 研究分担者・栗原は、近世における超越観念「天」と人間の「現存」との関わりを解明すべく、伊藤仁斎の倫理思想における「天道」と「人道」の関係について、問題のありかを見定めようとする考察を行った。成果として論文1本を公刊した。 研究分担者・上野は、謡曲や中世軍書群に描かれた神仏との関係を視野に入れつつ、『愚管抄』の神仏について考察した。併せて、『陸奥話記』『平家物語』『葉隠』を精読し、古代末から近世までの武士の現存に対する神仏の影響関係を整理し、その成果の一部を論文の草稿にまとめた。 研究分担者・木澤は、『愚管抄』における天台思想要素を追跡し、いかなる古代仏教の基軸的流れを慈円が継承しているのかを検討した。具体的には、諸法実相などの顕教的要素との乖離を見出し、祈祷僧としての側面の色濃さに着目すべきとの着想を得た。成果として研究会発表1本を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍のため、予定していた2回の対面研究会を中止したため。 代替的に1回のみZoom研究会を実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度もまだまだ対面研究会の実施が難しそうであるため、オンライン研究会でもできることの比率を増やして対応していく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により研究会合宿を中止したため。
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Research Products
(2 results)