2021 Fiscal Year Research-status Report
A Philosophy of Discrimination and Hate Specch
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20K00041
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
堀田 義太郎 東京理科大学, 教養教育研究院野田キャンパス教養部, 准教授 (70469097)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 差別 / ヘイトスピーチ / 哲学 / 社会的意味 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は差別の哲学の主要理論の検討と共に入門書の刊行、関連概念に関する研究を進めた。 第一に、差別の社会的(客観的)意味説の射程を、他の諸説との対比で明確化する研究を行った。対立する説として、個人的害説および集団的害説の批判的検討とともに、近接する理論としてソフィア・モローの従属への寄与説の検討を行った。この作業を通して、既存の諸理論の中での社会的意味説の射程を明確化し、さらにヘルマンの議論では探求されていない論点に関して独自の展開を試みた。(「差別と社会集団」『思想』2021年9月号) 関連書概念として、「見た目」差別に関する議論の検討と、インターセクショナリティ概念を差別論の観点から検討する研究を行った(『現代思想』2021年11月号、『現代思想』2022年5月号)。 また、本研究課題の成果を広く一般にフィードバックするため、差別の哲学の入門書を共著で刊行した(池田喬・堀田義太郎『差別の哲学入門』アルパカ、2021年12月)。同書第二章では、既存の差別の哲学の理論枠組みを、心理状態説・害説・自由侵害説・社会的意味説として整理し直し、それぞれの利点と難点を具体例に即して検討と紹介を行った。この作業により、更なる検討課題を明らかにすることができた。 また、間接差別に関して、予備的研究ではあるが、ヘルマンとB・アイデルソンの論争を検討した。 ヘイトスピーチに関する言語哲学的な議論の検討については、当初計画から遅れてはいるが、年度末より着手しており、上記の諸成果の中で基本的な検討の方向性は確定しているため、22年度前半にて本研究課題の中核をなす研究を行い、成果として公表する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
20度は様々な不測の事態による状況的変化(おもに教育に関する負担)に対応するため、進捗が滞ってしまった部分があるが、21年度は概ね計画通りに進んでいる。ただ、初年度の遅れにより、当初計画の一部については先送りになっている。とはいえ文献調査と予備的検討は既に終えており、速やかに成果として公表する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
年度前半にはヘイトスピーチを差別の範例として位置付けるための理論的研究を行いその成果を公表する。また、差別の害説への批判的検討を行う。 年度後半は、心理状態説および従属・抑圧説の検討と、間接差別論を完成させることで当初計画を進め、研究課題の完成を目指す。 ただし、20年度の不測の状況による遅れがあり、また学会および研究会での発表とフィードバックについては、この二年は当初予定を実行できていないため、間接差別論および具体例への適用の部分については、23年度に延長申請を行うことも視野に入れている。
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Causes of Carryover |
昨年度に引き続き、学会および研究会参加旅費として計上していた経費が、新型コロナによりすべてキャンセルとなったため支出が0となった。次年度の学会および研究会への参加旅費として支出するとともに、英文校正費等として支出する予定である。
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Research Products
(6 results)