2023 Fiscal Year Annual Research Report
Development of the Idea on Yoginis in Esoteric Buddhism in South Asia: A Critical Study of the Sanskrit Manuscripts of Kambala' Sādhananidhi
Project/Area Number |
20K00054
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
杉木 恒彦 広島大学, 人間社会科学研究科(総), 教授 (40422349)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | サーダナニディ / カンバラ / 後期密教 / サンヴァラ / タントラ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、インド大乗仏教のうち後期密教の論書であるカンバラ(Kambala)作『成就法の宝庫』(10世紀後半頃編纂)の第1~3、15~24、26~27、29、33、35~36、38~39、41~42章(合計23の章)の世界初の梵語校訂テキストと英語訳注を作成し、それらの章が説く内容(ヨーギニー論等)を分析することを目的とする。『成就法の宝庫』は多くの他文献との類似文を多く含む。そのため、その校訂テキストと英語訳注の提供は、インド・ネパールの仏教やシヴァ教を研究する方々にとって有益である。 最終年度となる2023年度はサバティカル研修期間であった。多くの時間を研究に使うことができたため、上述の23の章の梵語校訂テキストと英語訳注を作成し終え、さらにその他の全ての章の梵語校訂テキストと英語訳注のドラフトも作成することができた。すなわち、当初の研究計画の範囲を越えて、『成就法の宝庫』全51章の基礎研究を大いに進めることができた。加えて、『成就法の宝庫』を含め、インド・ネパールの初期中世密教文献群が扱うヨーギニー論を主題材とした英文書籍を8月に書き上げ、スイスのオープンアクセス学術出版社(MDPI Books)に提出し、外部専門家2名による査読を受けた。(研究期間終了後になるが、2024年4月30日に正式にアクセプトされ、2024年度内にオープンアクセス書籍として刊行されることが決定した。) その他、3年間の研究期間の間に、その成果の一部をInternational Journal of Buddhist Thought and Culture 31(1)やOxford Handbook of Tantric Studies(2022年)といった国際学術誌・書籍に刊行することができた。特に後者に掲載した論文は、国内外の関連分野の研究者の方々に多く参照・言及して頂けているようである。
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