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2020 Fiscal Year Research-status Report

下村寅太郎の「潜在的著作」を集成する

Research Project

Project/Area Number 20K00094
Research InstitutionYokohama National University

Principal Investigator

榑沼 範久  横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 教授 (20313166)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2025-03-31
Keywords下村寅太郎 / 世界史 / 哲学 / 京都学派 / 思想史
Outline of Annual Research Achievements

哲学者の下村寅太郎(1902-1995)は、1973年の定年退職後も著述活動とは別に、自身の研究談話会「プリムツァール会」で広大な思索を録音テープに残していた。「真の著作遍歴は著作以外にあるとすらいえる」、「テープの存するかぎり潜在的著作と称してもよいであろう」とは下村自身の言である。だが、『下村寅太郎著作集』(1988-1999)の完結から20年以上が過ぎた現在でも、ごく一部の発表はあっても、「潜在的著作」と見做しうるかたちで公刊されていない。録音された音声をまとめて文字化し、選択・校閲・編集を経て刊行を目指す本研究は、下村の未知の側面の発見にとどまらず、日本近代思想史の研究にとっても重要な学術資料の集成になるだろう。
録音テープが存在する限りで「潜在的著作」と称してもよいだろうと下村が言うのならば、まずは「プリムツァール会」で収録された下村の研究談話の録音テープの所在と本数を確定することから始めなければならない。本研究代表者はこの作業を具体的に進めるにあたり、「プリムツァール会」の常連出席者と改めてコンタクトを取り、いくつかの録音テープの所在を確認することができた。新型コロナウイルス感染症の拡大が続くなか、ご高齢の方に心的・身体的負担を強いるわけにはいかないが、状況を注視しながら現存する録音テープの確定とデジタルデータに整理する作業を進めていく。
また、「潜在的著作」を読み解くための作業として、下村哲学の新しい読解に向けた論考発表も継続して行っているが、特に現在のわれわれの状況も背景にした危機の世界史、都市の世界史に、下村哲学を照射して展開する論考から着手している。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

下村寅太郎の哲学を現在のわれわれの状況も背景にした危機の世界史、都市の世界史に照射して展開する論考を複数発表することによって、下村が自身の研究談話会「プリムツァール会」録音テープに残した「潜在的著作」を読み解くための準備は、積極的に展開している。そして、「プリムツァール会」の常連出席者と改めてコンタクトを取り、いくつかの録音テープの所在を確認することもできた。しかしながら、師である下村先生の遺された資料に関するその方ご自身のこだわりも強く、録音テープをもっと整理したかたちで、直接に研究代表者に説明をしながら、手渡ししたいとのご希望が届けられた。ところが、新型コロナウイルス感染症の拡大が続くなか、ご高齢の方に心的・身体的負担を強いるわけにはいかず、2020年度は電話連絡にとどめ、直接お会いする機会を延期することにした経緯がある(なお、電子メールやPCはご使用になられていない)。今年度も状況を注視し続ける必要があるため、例えば郵送していただけるか改めて交渉を行い、現存する録音テープの確定とデジタルデータに整理する作業が遅れている現状を変えなけえばならない。

Strategy for Future Research Activity

まずは、新型コロナウイルス感染症の収束が見えないなか、録音テープを所持されている方と打ち合わせをしなおして、現存する録音テープの確定とデジタルデータに整理する作業を促進しなければならない。そして同時に、「潜在的著作」のテーマについて、「哲学的テーマに限らない。飢餓の世界史、精神史としての戦争、科学革命、現代の終末論、都市の世界史、等々の類である」、そして、「結局、自分の関心に属するかぎりは、どこかでつながりをもっている」と下村自身が記す方向性に沿って、下村哲学の新しい読解を論考として発表し続けていく。本研究の目的は、下村哲学をひとつの分野や観念に縮減するのではなく、むしろ逆に資料体を拡張することで、下村がライプニッツについて言った「分散を必然的に要求する所以のもの」を描き出す豊富な「線」を準備することにあるからだ。

  • Research Products

    (3 results)

All 2021 2020

All Journal Article (1 results) (of which Open Access: 1 results) Book (2 results)

  • [Journal Article] リオリエント──活動性のアナザー・パラダイム2021

    • Author(s)
      榑沼範久
    • Journal Title

      常盤台人間文化論叢

      Volume: 7 Pages: 237-247

    • DOI

      10.18880/00013692

    • Open Access
  • [Book] 都市科学事典2021

    • Author(s)
      横浜国立大学都市科学部
    • Total Pages
      1052
    • Publisher
      春風社
    • ISBN
      9784861107344
  • [Book] 都市は揺れている2020

    • Author(s)
      吉原直樹、榑沼範久、都市空間研究会
    • Total Pages
      176
    • Publisher
      東信堂
    • ISBN
      9784798916361

URL: 

Published: 2021-12-27  

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