2020 Fiscal Year Research-status Report
The Enlightenment and the Problem of Religious Orthodoxy in the Seventeenth and Eighteenth-Century Netherlands
Project/Area Number |
20K00112
|
Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
加藤 喜之 立教大学, 文学部, 准教授 (00708761)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 思想史 / 哲学 / 宗教学 / キリスト教 / オランダ / スピノザ / デカルト / 十七世紀 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画書にもあるように、2020年度は、オランダの哲学者ゲーリンクス (Arnold Geulincx, 1624-1669) に注目し、彼の代表的な著作『形而上学』 (1691年) と『倫理学』 (1675年) の分析を行なった。彼はもともとカトリック教徒であったが、のちに当時のオランダの公的な教派である改革派へ改宗し、ライデン大学の教授となった。同時にデカルト哲学の影響も受けており、教派の公式見解より、むしろ普遍的な「理性」の働きを中心として、形而上学や倫理学を構築していることが明らかになってきた。現時点では、テクストの分析を行い、また関連する先行研究の読解に時間を費やしている。本来であれば、国際共同研究加速基金で提携したファン・ルーラー教授 (Han van Ruler) の所属するロッテルダム大学哲学部のフォーラムで発表する予定であった。しかしながら、全世界に広がった新型コロナウイルス感染症の影響のため、渡航が不可能であり、国際的な場での発表は諦めざるをえなかった。その分、論文執筆や雑誌特集の編集作業に専念することができ、いくつかの国際的な雑誌に研究成果を発表することができた。なかでも、ファン・ルーラー教授とともにオランダ・ブリル社が発行する国際雑誌 Church History and Religious Culture において、本研究課題に関連する主題で特集を組むことができた。その雑誌上で、論文を発表するのに加えて、共著での序論を刊行でき、いくつかの方面で肯定的な反応をえることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は、全世界的に広がった新型コロナウイルス感染症の影響のため、海外への渡航が叶わず、国際機関での研究発表やそれに付随した海外の研究者との連携は進まなかった。また、海外の文書館に所蔵されている文献の収集も可能ではなかったため、いくつかの制約のなかで研究を遂行しなければならなかったことが、現時点で研究の進捗がやや遅れている理由であろう。ただし、テクスト分析や論文の発表などは精力的に行えており、その点において本研究は順調に進捗しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は、やはり大部分で日本国政府と東京都による新型コロナウイルス感染症の対策に依存しているといわざるをえない。というのも、本課題で予定されている国際機関での研究発表やそれに付随した海外の研究者との連携、また文書館での資料収集はすべて本研究者がワクチンを接種し、かつ海外の渡航先と本国の了解によらねば不可能だからである。現時点の見通しでは、2021年度中も、こうした海外への渡航を前提とした研究を進めるのは困難であり、引き続きテクスト分析と先行研究の読解に専念せざるをえない。そのため、研究の進捗がやや遅れることは避けられないと考えている。そうした状況を鑑みて、海外渡航を必要とする本課題の研究の部分においては、次年度以降に先延ばしにする必要もあり、研究計画の見直しも迫られている。ただし、国内学会での発表はオンラインでも可能になっているので、積極的に推進していく予定である。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由だが、2020年度は、全世界的に広がった新型コロナウイルス感染症の影響のため、海外への渡航が叶わず、国際機関での研究発表やそれに付随した海外の研究者との連携は進まなかったためである。本来であれば、次年度に海外の研究者との連携を進めるのがよいのだが、2021年度中も、こうした海外への渡航を前提とした研究を進めるのは困難であり、引き続きテクスト分析と先行研究の読解に専念せざるをえない。そのため、海外渡航に伴う費用を執行することは困難である一方、実質的な使用計画としては、次年度分の経費と合わせ、おもに書籍や外国語の必要文献を購入する予定である。
|
Research Products
(3 results)