2023 Fiscal Year Annual Research Report
A Study of Sumiyoshi Hiroyuki, Hironao, Hirotsura, Hirokata
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20K00184
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Research Institution | The Museum Yamato Bunkakan |
Principal Investigator |
宮崎 もも 公益財団法人大和文華館, その他部局等, 学芸部課長 (10416266)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 住吉派 / やまと絵 / 江戸絵画 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで国内の多くの美術館・博物館において住吉派作品や住吉派関連作品を調査してきたが、研究最終年にあたる本年度は、東京や大阪、京都などの個人所蔵の作品調査と海外調査を行った。特に海外調査では、ドイツのライプツィヒ民族学博物館において、住吉広行の代表作であり、制作年も分かる基準作である「酒てん童子絵巻」を熟覧した。住吉派や絵巻物に詳しい研究者たちと共同で調査を行い、意見を交換して知見を深めることができた。広行筆「酒てん童子絵巻」は、広行が新しく作り上げた図様であること、特に前半3巻には、様々な中世の古絵巻の図様が活用されていることが明確となり、広行が30代前半にして多くの古画を学習していることや、古画活用に意欲的であったことが窺えた。 また、住吉広行や弘貫関係の書類や日記の解読など、文献調査も引き続き行った。 本年度を含めた4年間の研究によって、住吉広行をはじめとする江戸時代後期の住吉家当主たちが、江戸時代前期の住吉家の画題や表現を墨守するだけでなく、古画模写や古画活用を意欲的に行っていることが具体的に分かった。また、故実書より考証した伝統的行事絵や、復古・好古の思潮の隆盛に沿った新しい図様を工夫し、狩野派や江戸琳派、復古やまと派にも影響を与えていることも明らかとなり、江戸時代後期の画壇において重要な役割を果たしていたことが窺えた。 こうした4年間の研究成果を「江戸時代後期の住吉家の動向-五代当主広行を中心に-」と題して『大和文華』144号掲載論文にまとめた。この『大和文華』144号は住吉派特集とし、住吉家初代如慶に関する論文、住吉家門人に関する論文、住吉家で編集された『本朝画事』に関する論文もご寄稿いただき、住吉派研究を進めた。
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