2020 Fiscal Year Research-status Report
高精細複製絵画による屏風絵を中心とする実験的展示照明による基盤的理論の構築
Project/Area Number |
20K00245
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Research Institution | Tokyo National Museum |
Principal Investigator |
松嶋 雅人 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 調査研究課絵画・彫刻室 (10321548)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高精細複製絵画 / 展示デザイン / 照明環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は第一段階として、国内外の展示施設における屏風絵を中心とした日本絵画の展示環境を先進的照明方法、手法の調査を予定した。とくに展示室のケース内展示ではなく、文化財が露出展示されている事例を可能な限り調査し、屏風絵を露出展示している施設は、ケース内展示となる展示施設とは全く様相の異なる照明環境であるため、その調査は必須といえる。その事例研究にあわせて、照明に関わる絵画に対する歴史的考察の方法、照明機器の保存科学的な問題点も浮き彫りにしようと考えた。このような研究方針のもと、本年度は下記の研究成果を得た。 ・高精細複製絵画に対して、各種の照明実験を行った。2020年10月27日(火)~12月6日(日)に東京国立博物館において開催された「なりきり日本美術館リターンズ」で、尾形光琳筆「風神雷神図屏風」高精細複製絵画についての実験的照明を行い、その画面状況を観察し、その効果の検証を行った。 ・国内の展示施設を調査し、照明環境の比較材料となる次の機関において、資料の収集を行った。国立新美術館(東京都)、人と防災未来センター(神戸市)、富山県美術館の展示施設における展示室内の照明環境状況を視察した。 ・文献資料と近世以前の絵画資料に基づき、照明環境の復元的考察を行った。主に東京国立博物館蔵の室内で行灯等を描写した浮世絵版画、肉筆浮世絵版画を取り上げて、その設置場所、光源の高さなどについての情報集約を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題では、国内外の展示施設における屏風絵の露出展示を行っている美術館等の照明環境の調査、視察を重要視しているが、covid-19の感染拡大のため、移動の制限があったため、当初、本年度に予定していた海外の日本美術を展示する展示施設の視察を行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策として、さまざまな施設における照明環境の比較検討材料を可能な限り収集し、近世以前の文献、並びに絵画資料を踏まえながら、実験的照明環境の理論を構築するためのデータ収集を引き続き行ったいく。 しかし当初予定していた国外の美術館等施設の視察が、現状では困難であると判断されるため、その事例研究資料の不足分を補うために、可能な限り国内施設の視察を行って、資料の収集を行いたい。
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Causes of Carryover |
当初予定していた国内施設の視察が、感染症拡大によって中止となったため。
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Research Products
(1 results)