2021 Fiscal Year Research-status Report
十九世紀フランス哲学における身体観の再検討:『未来のイヴ』の新たな読解にむけて
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20K00486
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
福田 裕大 近畿大学, 国際学部, 准教授 (10734072)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上尾 真道 京都大学, 人文科学研究所, 研究員 (00588048)
中筋 朋 京都大学, 人間・環境学研究科, 准教授 (70749986)
相澤 伸依 東京経済大学, 全学共通教育センター, 教授 (80580860)
野田 農 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (20907092)
井上 卓也 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員 (30916515)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ヴィリエ・ド・リラダン / 『未来のイブ』 / 19世紀フランス哲学 / 象徴主義 / 科学と哲学 / 身体 / 精神医学 |
Outline of Annual Research Achievements |
第二年次にあたる本年度も、コロナウイルスの流行のために移動そのものが困難な状況にあったため、定期的なオンライン研究会を実施することで研究活動を進めた。具体的には、前年度から進めてきた『未来のイヴ』再読のための論点整理の作業を行なったのちに、同作品をいっそう細かなレベルで具体的に検討していくための精読作業を行った。とりわけ、8月から9月にかけて集中的に実施した同作の草稿分析は、本プロジェクトにとって大きな実りとなった。 以上のような基礎的作業をもとにして、10月に日本フランス語フランス文学会のワークショップの一環として、共同発表「『未来のイヴ』を再読する:十九世紀フランス哲学・科学を起点として」を行なった。フーコーの言説理論をもとにした『イヴ』再読の可能性の提案(相澤)、「エジソンの逆説的アンドレイド」を中心とした草稿分析(野田)、『イヴ』にみられる特殊な現実理論の再整理(福田)、同時代の哲学・精神医学とのつながり(上尾)、「光と闇」の分析を起点とした読解(中筋)等の多彩な問題提起が有機的に結びついた、非常に有意義な成果報告の機会となった。 同共同報告の内容、ならびにこの機会に聴衆から提起されたフィードバックをもとにして、目下は本プロジェクトの研究成果を文書化する作業に取り組んでいるところである。その作業の一環として、白水社の『ふらんす』誌上にて連載「対訳で楽しむ『未来のイヴ』」を執筆する機会を得ることができ、本年度末までに第二回掲載分までのテクストをすでに執筆済みである(全6回、同誌刊行は2022年4月1日から)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナウイルスの流行をめぐる状況変化のせいで対面による研究会の実施などはかなわなかったが、上述した基礎研究、並びにワークショップでの共同報告など、豊かな成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
先述の共同発表「『未来のイヴ』を再読する:十九世紀フランス哲学・科学を起点として」がインパクトとなり、2022年度に向けてすでに複数の成果報告プロジェクトの準備が進められている。『ふらんす』誌上では、上記の連載に加え、『未来のイヴ』を端緒にして「アンドロイド」に関する歴史的想像力を論じるための特集企画の掲載が予定されている。合わせて、2022年6月に予定されている京都大学人文科学研究所の公開シンポジウム(人文研アカデミー:『ヴィリエ・ド・リラダンとフランス象徴主義』)に福田・中筋・野田の三名が登壇し、本研究プロジェクトの研究成果を報告する予定になっている。これらの機会に加えて、最終年度となる本年は、本研究の成果の書籍化に向けて更なる準備を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
昨年度に引き続き、コロナウイルスの流行等にともない移動・面会が制限されている関係で、計画段階で予定されていた対面での研究会の実施や学会参加・海外参加などが実施できない状況に置かれている。こうした状況が改善されるまでのあいだは基礎的な文献調査やオンラインでの情報共有に徹しつつ、状況に変化が見られた段階で研究成果公表のイベントを開催するなどして、目下生じている余剰分を活用する計画である。
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Research Products
(13 results)