2021 Fiscal Year Research-status Report
Modern Japanese literature and East Asia
Project/Area Number |
20K00523
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
西槇 偉 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 教授 (50305512)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
劉 静華 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 教授 (50404322)
坂元 昌樹 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 教授 (70346972)
屋敷 信晴 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 准教授 (40404321)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 夏目漱石 / 小泉八雲 / 東アジア / 翻訳 / 受容 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)研究フォーラム「漱石・ハーン研究の新地平――異界と境界」熊本大学文学部附属漱石・八雲教育研究センター第3回研究フォーラム 2021年9月19日 熊本大学くすのき会館レセプションルーム(同時にオンライン)/第1部、研究発表 ①西槇偉「中国における『草枕』の翻訳受容――海賊版と剽窃訳をめぐって」、②濱田明「ラフカディオ・ハーンのマルティニーク―日常と異界―」③藤原まみ(山口大学)「カタリ(騙り・語り)の効能 ――Jack Londonの作品を通して、Lafcadio Hearnの作品を読む――」司会 坂元昌樹/第2部、特別講演 西成彦(立命館大学)「ラフカディオ・ハーンと浦島太郎」 (2)業績リスト ①西槇偉「『草枕』の中国語翻訳史」『人文科学論叢』第3号、熊本大学大学院人文社会科学研究部(文学系)発行、2022年3月、170~185頁/②同「漱石と世界文学」『アイラヴ漱石先生―漱石探求ガイドブック』集広舎、2022年4月、8~13頁/③同「漱石と中国語圏の関わり―豊子愷と『草枕』」前掲『アイラヴ漱石先生』126~131頁/ ④屋敷信晴「漱石の漢詩文」前掲『アイラヴ漱石先生』110~111頁/⑤坂元昌樹「漱石と日本文化」前掲『アイラヴ漱石先生』16~20頁 (3)学会発表等 ①〔講演〕西槇偉「中国における漱石受容の一側面――『草枕』中国語訳の海賊版・剽窃訳及び漱石墨蹟の贋作」くまもと漱石倶楽部総会、2021年7月24日、くまもと県民交流館パレア会議室/②〔市民講座〕西槇偉「『永日小品』――漱石と魯迅、豊子愷をつなぐもの」漱石九日読書会、NPO法人くまもと漱石文化振興会、熊本市民会館シアーズホーム夢ホール、2022年1月8日/③〔市民講座〕屋敷信晴「漱石の漢詩 ―自然表現を中心に― 」前掲読書会、2021年12月11日
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では、2年目である本年度において、「日本近代文学と東アジア―夏漱石と朝鮮半島をめぐって」をテーマに掲げ、『満韓ところどころ』に関する現地での調査研究を行なう予定であったが、周知の事情により現地調査を行うことはできなかったため、資料収集や過年度の研究成果の刊行に注力した。 過年度の研究成果として、代表者西槇は「『草枕』の中国語翻訳史」を『人文科学論叢』(第3号、熊本大学大学院人文社会科学研究部(文学系)発行、2022)に発表した。その他、大きな成果として、坂元昌樹と共同で『アイラヴ漱石先生―漱石探求ガイドブック』(NPO法人くまもと漱石文化振興会・熊本大学文学部附属漱石・八雲教育研究センター編、集広舎、2022年4月)を刊行することができた。本書は学術的に高水準を具えた一般書で、本研究の成果を多く収めている。上記「実績概要」に記した以外にも、本書では漱石文学の韓国における受容については、金泰(日+景)(キム・テギョン)氏「韓国における漱石ブーム」(138~144頁)を掲載し、漱石の作品解説を西槇・坂元・屋敷が分担執筆している。 漱石研究ガイドブックである共著『アイラヴ漱石先生』は熊本大学文学部附属漱石・八雲教育研究センターとNPO法人くまもと漱石文化振興会のサポートにより刊行することができた。つまり、本研究は学内の研究機関と学外の市民団体に支えられ、順調に推進できているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究に関連して2021年度に一般書を公刊できたが、残りの2か年において論集の刊行を目指したい。 具体的な計画として、2022年度はこれまでの漱石研究を継続し、感染症の流行が抑制され、海外渡航が可能となれば、夏目漱石『満韓ところどころ』に関する現地(中国と韓国)調査を行う。海外渡航が難しければ、文献資料による研究を推進する。さらに、日本近代文学における翻訳文学と東アジアの関わりをも視野に収め、その中に「植民地」「近代化」の問題を掘り下げていく。 代表者が所属する大学に中国の漱石研究者、陳雪氏(安徽大学准教授)を客員研究員に迎え、学術交流を深め、共同研究を進める。 さらに、本研究を担うメンバーはラフカディオ・ハーン研究にも携わっており、2022-23年にかけて、ハーンの論集を公刊することも計画している。
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Causes of Carryover |
感染症の流行により、予定していた出張はできず、研究旅費等が支出されなかったためである。 残額を2022年度以降に回し、出張旅費、研究集会の開催及び研究成果公開のための印刷費用等に充てる予定である。
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