2020 Fiscal Year Research-status Report
中国語の談話標識における意味・機能変遷プロセスの解明
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20K00614
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
HUANG Wanting 上智大学, 言語教育研究センター, 准教授 (40613154)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 談話標識 / 談話機能 / 意味 / 自然会話コーパス |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度の主な成果は次の2点である。
(1)会話分析分野の標準的な記号法を基準にしながら、会話分析関連の先行研究を参照にした上で、本研究が必要となるトランスクリプト記号一覧を確定した。この記号一覧をもとに、会話の書き起こしの作業者と打ち合わせを行い、前年度までに収集を終えていた会話データの書き起こし作業を依頼した。書き起こしたデータの完成日程はそれぞれ異なっていたが、計画していた作業はすべて年度内に完成した。また、データのチェック作業者とも打ち合わせを行い、記号一覧の表記やチェックの仕方を説明した。先行して完成していた書き起こしデータから順次チェックの作業を進めてもらい、現在も進行中である。
(2)談話標識および文法化、語用論、コーパス構築等関連文献をできる限り収集し、考察対象である例示を表す形式の「Shenmede」における中国語疑問文に関する研究や列挙形式に関する研究など先行研究で見られる主張を整理した。また、以前から完成している会話データベースに基づき、「Shenmede」に基本的な用法以外の用法が存在しているかについて分析した。その結果、基本的用法とは異なる用例が複数存在していることが明らかになった。このことから、先行研究は必ずしも十分ではないことが明らかとなり、類似の要素が存在しない会話の流れの中で、話し手が「Shenmede」を使用した意図、また「Shenmede」の使用によってもたらされた効果は何かについての問い立て、研究を引き続き進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1)会話の書き起こし作業者とデータのチェック作業者と打ち合わせを行い、トランスクリプト記号一覧に従った上で、正確な書き起こしと正確なチェックを行ってもらえうよう、随時確認を行った。その結果、作業を進めてもらう中で、データが何度も修正されることがあり、当初の予定より遥かに長い時間を要しており、現在もチェック作業は進めている。
(2)新型コロナウイルスの影響により、新たな参加者に対して対面で会話収集を実施することが困難となった。そのため、会話収集の進捗は当初の計画より遅れている。現在、対面ではなく、オンラインで会話を収集することを検討しており、それに対応できる参加者の確保に着手している。またオンラインで収集する場合に、自然会話の収集に影響が出ないよう、対面と同様な音声と画像の質を確保できるオンライン会議ツールの利用を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)中国語母語話者の自然会話を引き続き収集する。当初の予定から変更し、対面ではなくオンラインで収集することを検討している。オンラインで収集した会話データについては、新たに会話の書き起こし作業やデータのチェック作業を行うことで、会話データベースを追加する。
(2)令和2年度に新たに追加した会話データを利用し、会話同士の相互行為の中で、「Shenmede」がどのような使用実態を呈しているかを分析する。また、令和2年度に行ってきた分析と照らし合わせることを通じて、研究結果の信頼性を検証する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染影響により、当初計画していた会話参加者の人数を十分に確保することができず、参加者への謝金や会話の書き起こし作業、データのチェック作業にかかる費用を十分に消化できなかった。そのため、残った予算を次年度に使用することを計画している。令和3年度は引き続き、当初予定していた会話数になるように会話を収集する予定である。繰越した研究費については、当初の計画通りに会話データベースの追加作業に充てる予定である。
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