2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K00615
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
折田 奈甫 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (70781459)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 大厚 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (00272021)
酒井 弘 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (50274030)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 心理言語学 / 項省略 / 言語獲得 / 人工言語 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本語母語話者を対象に、人工的な一致がある準日本語と、一致がない準日本語のどちらかを学習させ、その後、それぞれの準日本語で空項をどのように解釈するか(厳密な同一性の解釈とゆるやかな同一性の解釈)を調査するもので、統語論で提案されてきた反一致仮説の言語獲得における有効性を人工言語を用いて検証する新しい試みである。
2022年度に実施した、日本語母語話者対象の実験では、「ゆるやかな同一性」の解釈については2条件(準日本語において一致がある条件とない条件)に差はなかったが、「厳密な同一性」の解釈については、一致のある準日本語を学習した実験参加者のグループの方が容認しやすいという結果が得られた。実験で用いたのはほぼ日本語の準人工言語であるため、一致を無視して解釈する可能性も十分にある。しかし、一致なしの準日本語を学習したコントロール群との比較から、日本語母語話者であっても一致の学習が空項の解釈に影響を与えることがわかった。2023年度は、これら2022年度に行った実験の結果を国際学会で発表した。また、2022年度に実施したスペイン語の予備実験の結果を国内研究会で発表した。
人工的な一致を学習することで「厳密な同一性」の解釈が容認されやすくなるという2022年度の実験結果から、空項の解釈に一致が役立つということを一致の学習時に明示的に学習させれば「厳密な同一性」の解釈がより好まれるようになるという予測が立つ。2023年度は、この予測を検証するために、日本語母語話者を対象に新たな追加実験を行った。
|
Research Products
(3 results)