2020 Fiscal Year Research-status Report
地域の日本語教育における各分野の専門家と日本語教師との協働の研究
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20K00725
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
俵山 雄司 名古屋大学, 国際機構, 准教授 (30466685)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 地域日本語教育 / 専門家 / 日本語教師 / 協働 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、専門家と日本語教師の協働の実態調査の基礎作業として、地域日本語教室に関わる専門家の専門分野の拡がりや協働の形態について調査を行った。具体的には、文化庁「「生活者としての外国人」のための日本語教育事業」のうち「地域日本語教育実践プログラム」の2009年度と2019年度の実施内容報告書の記述を対象として、10年間で日本語教師と専門家との協働がどのように変化してきたかを明らかにした。 分析の結果、専門家の関与が見られたのは2009年度は78件中8件(10.3%)だったのに対し、2019年度は17件中10件(58.8%)であり、割合が大きく増加していた。両者とも、外国人向け日本語教室での関与と、指導者向けの養成講座での関与の2つのパターンが観察された。 2009年度の特徴として、教室の目的が、介護ヘルパー(介護施設と連携)や、就農者(酪農家などと連携)など、ある職種の養成に特化したものが複数あることが挙げられる。一方、2019年度は、東日本大震災や熊本地震の経験、頻発する豪雨災害を受けて、防災関係の連携が目立つ。連携先も防災士、行政・自治会の防災担当者など様々なものがあり、日本語教室・指導者養成の双方に見られた。また、行政の連携先が、健康増進・ゴミ・防災など、多岐にわたっていることも目を引く点である。 その他、日本語教室の実施内容(カリキュラム)を見ると、2009年度は、言語に焦点を当てた回の間に、イベント的に専門家を招いた体験などがあることが大半であったが、2019年度は、専門家を招いた(もしくは、専門家のところに出向いた)回のみならず、前後の回とまたがって「事前学習・体験(and/or講義)・振り返り」の流れが存在したり、専門家を複数回連続で招いた活動となっていたりするなど、綿密にデザインされたものが増えていることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年より地域の日本語教室で実施された外国人住民向けの医療・防災・ごみなどの講座に参加し、専門家に対しての調査をする予定であったが、コロナウィルス感染拡大により、実施を取り止めたため、調査を延期した。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナウィルスの感染状況を見つつ、市町村などで開催された講座に参加し、予定していた調査を実施する。
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Causes of Carryover |
コロナウィルスの感染拡大により、現地に赴いての調査ができず、またそれに付随した調査協力者へのインタビューも未実施となった。本年度使用できなかった分は、調査の際の旅費、また、調査協力者への謝金として使用予定である。
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Research Products
(1 results)