2021 Fiscal Year Research-status Report
「保護者としての日本語」の確立に向けた『幼稚園の配布文書コーパス』の構築と分析
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20K00730
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
長谷川 守寿 東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (50272125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西尾 広美 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 日本語教育研究領域, プロジェクト非常勤研究員 (10794232)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 幼稚園 / 配布文書 / 特徴語 |
Outline of Annual Research Achievements |
幼稚園の配布文書における語彙の抽出とその考察を行った。本データを1年分のA幼稚園の配布文書の語彙表とし、参照データは、『現代日本語書き言葉均衡コーパス』内で流通実態を代表する図書館データの語彙表とする。その二つのデータを基に、まず一般名詞、動詞それぞれに対し、語の順位の相関を調べた。さらに、リーディングチュウ太を用いて、一般名詞、動詞、形容詞・形容動詞の上位語のレベル判定を行った。最後に二つのデータを基に、一般名詞、動詞、形容詞・形容動詞の頻度を基に、対数尤度比を求め、その値が6.63以上のものを特徴語として抽出した。 相関を調べた結果では、配布文書は一般の書き言葉とは語彙の面で特異なことが判明した。さらに配布文書に含まれる語彙は、日本語学習者の使用する教材ではカバーしきれないことが明らかになった。そして特徴度を元に、各品詞の上位語に対しどのような形での教材化、語彙表化が望ましいか検討を加え、幼稚園に子どもを通わせる外国人保護者を対象とした場合、理解が必要となる語を挙げ、主に教材としての提示方法について考察を加えてきた。 しかしながら、この論文で取り上げたデータは、一つの幼稚園の配布文書から抽出したものに過ぎない。そもそも幼稚園の配布文書は、園によって配布される文書の種類・枚数に異同があるため、均衡性を考慮できない。そのためより汎用性の高い教材にしていくには、他の幼稚園との比較を繰り返すというボトムアップの方向で、必要な語・不要な語の検討が必要となる。またこれとは別に、対象となる保護者が、どのくらい語・表現を理解しているか、主観的判断を伺う必要もあろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍により、配布文書入手のための説明の機会が設けられず、予定しているデータ量には達していないため。
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Strategy for Future Research Activity |
データ入手のための交渉をさらに続ける。また、A幼稚園の配布文書で得られた特徴語の考察のために、B幼稚園の配布文書の特徴語を抽出し、比較・検討を行う。また、現時点で得られた特徴語を、日本語以外を母語とする保護者がどのように理解しているか、調査を行う。
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Causes of Carryover |
データの入手が計画通りに進まず、データ入力のため費用を使わなかったため。 また、新規での配布文書の入手がなく、データ管理用のPCの購入の予定が2022年度になったため。
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Research Products
(1 results)