2022 Fiscal Year Research-status Report
「保護者としての日本語」の確立に向けた『幼稚園の配布文書コーパス』の構築と分析
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20K00730
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
長谷川 守寿 東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (50272125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西尾 広美 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 研究系, プロジェクト非常勤研究員 (10794232)
長谷川 頼子 敬愛大学, 国際学部, 准教授 (50968998)
井上 里鶴 麗澤大学, 国際学部, 講師 (30966924)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 幼稚園 / 配布文書 / 特徴語 / やさしい日本語 / 研修 |
Outline of Annual Research Achievements |
配布文書からの特徴語リスト作成については、対象とする文書群を幼稚園の配布文書とした場合、提供されるデータ量は園により様々であるため、単純に複数の文書群を合併してデータとし、対象データとの比較から語彙を抽出してよいのかという疑問が生ずる。 そこでコーパスが複数の異なる文章群からなる時、そこから特徴語を抽出する方法について探索的に考察を行った。今回は、2つの文章群からなるコーパスを対象としたが、その結果、文書群の語数を1対1となるように調整した場合、2つの文章群から偏りのない特徴語リストを抽出することができ、語数が異なるデータを対象とする場合は分離して扱う必要性を明らかにした。ただし、補正することにより、語数の少ない文章群からの語が、語彙リストに多く含まれてしまうという、直感とは反する問題が発生してしまった。一律に語数を補正することによる弊害と考えられるため、それぞれの語数に応じた補正の方法が必要となり、今後の課題である。 また、「やさしい日本語」の研修に関する研究では、茨城県土浦市役所の職員を対象に、「研修当日までの事前学習」と「研修当日のワークショップ」からなる「やさしい日本語研修」を実施した。研修後アンケートの自由記述および研修の事前事後に実施したビリーフ調査の分析から、本研修を通じて、やさしい日本語が職員にとって外国人と関わっていくための有力な手掛かりとして受けとめられたことが明らかになった。また今後の課題として、研修を受けた職員が実際にやさしい日本語を業務で活用しているか、やさしい日本語による対応や情報提供で十分なのかについて、外国人住民の受けとめ方も含め、さらなる調査と検証の必要性が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍により、配布文書入手のための説明の機会が設けられず、予定しているデータ量に達していないため。また、コロナ禍により、紙の形で文書を配布するのではなく、メールやホームページ、さらにはLINEなど連絡手段が変わり、必要な情報にアクセス出来なくなっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、既に入手しているがデータ数が少ないため考察の対象としていないいくつかの幼稚園のデータを有効に活かす方法を考える。 また、現在web上で得られる幼稚園のお知らせが、どの程度紙の形での配布文書に類似しているのか明らかにし、それらを有効活用する方法も考える。 さらに、園単位での提供をお願いするのが難しくなっているので、現在または以前幼稚園に勤務している(していた)教諭など、協力していただける方を引き続き探していく予定である。
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Causes of Carryover |
新規に配布文書の入力の作業がなかったため、その入力に関する費用が発生しなかった。また、学会等もオンラインで行われたため、旅費等も発生しなかった。次年度は、紙の形での配布文書の提供があった場合は入力作業に使用に、また対面での研究大会なども行われるため、旅費等で使っていきたい。
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