2022 Fiscal Year Annual Research Report
自己調整理論とS2Rモデルを援用した読解方略指導教材の開発と評価
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20K00767
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Research Institution | Anan National College of Technology |
Principal Investigator |
勝藤 和子 阿南工業高等専門学校, 創造技術工学科, 教授 (50363130)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 学習ストラテジー / 自己調整学習 / S2Rモデル / 因子分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
Oxford (2011)のS2Rモデルに沿った質問票を試行した。内的整合性も概ね良好であった。ただ,社会文化対人のα係数が.80を下回っていた。内的整合性を高めるために,質問項目をさらに改善する必要がある。因子分析を行い,メタ認知,認知,メタ情意・情意,メタ社会文化対人,社会文化対人の5因子を得た。内容的には,第3因子は,メタ情意と情意の両方の項目で強い負荷を示していたので,「メタ情意・情意」と命名し統合される形としたが,Oxfordの唱えるモデルに近い因子構造になった。Habok & Magyar (2018) も当初は,6因子を想定していたが,5因子のほうが,分析が整うと結論づけている。本研究においても,メタ情意と情意が統合される5因子としたが,この点において,Habok & Magyarの研究と同様な結論になったと考える。 これらの5因子と成績およびGTECスコアとの相関では,成績とメタ認知の間に正の有意な中程度の相関,成績と認知の間とGTECスコアとメタ社会文化対人の間に正の有意な弱い相関がみられた。メタ認知や認知の項目が定期試験の結果や課題の取り組みなど,日常的な学習との関係が深く,メタ社会文化対人の項目が授業や教室外でのコミュニケーションへの共感や信念と結びついているGTECスコアと関連があることは興味深い。つまり,GTECのようなコミュニケーション能力を測る外部試験においては,メタ社会文化対人に関する自己調整学習力の伸長が得点につながることが明らかになった。本研究におけるGTECスコアとメタ社会文化対人の自己調整学習の相関は弱いものだったが,今後,質問項目を改善することにより,関わりがもっと明らかになる可能性がある。 さらに,この質問票を母国語が異なる学習者のグループや海外語学研修の経験のある学習者のグループを対象に実施した場合に得られる知見にも期待ができる。
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