2020 Fiscal Year Research-status Report
武士の朝臣化―「旧大和郡山藩士吉田家文書」の総合的研究―
Project/Area Number |
20K00968
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Research Institution | Osaka University of Economics |
Principal Investigator |
内山 一幸 大阪経済大学, 経済学部, 講師 (80454411)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小倉 宗 関西大学, 文学部, 教授 (40602107)
後藤 敦史 京都橘大学, 文学部, 准教授 (60710671)
藤本 仁文 京都府立大学, 文学部, 准教授 (90580580)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 武士 / 朝臣 / 大和郡山藩 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、新たに発見された「旧大和郡山藩士吉田家文書」の整理と分析を通じて、武士たちが維新期にいかにして朝臣化するのか、すなわち天皇に対する忠誠心を抱くようになるのか、について考えることにある。この問題を大和郡山藩士の吉田家を事例に、規律の内面化と意識の変化という二段階に分けて考察する。そのための作業として、(1)大和郡山藩士の家文書の整理と分析、(2)幕末維新期の大和郡山藩研究、(3)幕末維新期の天皇と藩士の関係を考察する。 本年度は(1)について重点的に取り組んだ。具体的には、研究代表者である内山が「吉田家文書」の来歴や吉田家の家譜の検討を行った。また、大学院生を史料整理のアルバイトに雇用し、書簡を整理し、史料情報の入力を行ってもらった。通常の史料整理では、標題、作成者、宛名、史料の内容、法量を採録するが、今回の整理では「武士の朝臣化」を測定するために、「天皇・朝廷」の情報を特に採録するようにマニュアルを作成している。また、(2)については研究協力者が史料撮影を行った。 今年度の成果として、前者については、帳簿やいくつかの書状の分析から吉田家の19世紀の家系についておおよその復元が出来た。これにより同家の19世紀の動向を検討する上での基礎的な情報を得ることが出来たと考える。この点については共同研究者たちとの研究会で内山が「「吉田家文書」の概要報告」を行った。後者については、未整理であった帳簿の整理を終え、書簡約1000点の整理を終えた。もっとも書簡についてはまだ整理が1割も進んでいないため、次年度に重点的に作業を行いたい。なお、これらの史料情報については、共同研究者とも共有を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度はコロナの影響もあり、大学内への入構について制限が生じた。そのため、他大学の院生がアルバイトとして出勤することにも制限が発生し、予定の出勤回数を確保できず、史料整理の進捗状況に遅れが発生した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)大和郡山藩士の家文書の整理と分析について、中核をなす史料整理については昨年度よりも人員を増やして出勤回数を増やすことで、調査の遅れを取り戻すこととする。 調査研究、具体的には、(2)幕末維新期の大和郡山藩研究、(3)幕末維新期の天皇と藩士の関係を考察する、については、研究会を2回程度開催し、共同研究者、研究協力者と予定通り作業を進めていく。
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Causes of Carryover |
前年度においては、コロナの関係もあり大学への入構制限が生じたため、雇用したアルバイトの出勤日数を確保できなかった。また、学外への出張調査についても予定通りには実施できなかった。そのため、次年度への繰り延べが発生した。
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