2022 Fiscal Year Annual Research Report
時間/空間の変容の分析による現代ドイツの歴史的特性の解明
Project/Area Number |
20K01070
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
高橋 秀寿 立命館大学, 文学部, 教授 (70309095)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 時間/空間 / 犠牲者 / 記憶 / 反ユダヤ主義 / 過去の克服 |
Outline of Annual Research Achievements |
この三年間でドイツ現代社会の時間/空間の変容の問題に取り組んできたが、主に三つの方向で成果を上げた。 第一に、ドイツにおける「犠牲者」概念を通して現代ドイツの時間/空間の変容を検討する研究である。すでにドイツ人による犠牲者とその歴史的表象に関しては研究成果はまとめられているので、ここではドイツ人が被害者となった戦争や空襲、追放などの「犠牲者」を中心に分析した。これは現在のところ、筑摩書房から単著を刊行する予定である。 第二に、ドイツにおける記念碑の変容を通してドイツ国民の歴史的変容の実体を分析し、この分析から現代ドイツにおける時間/空間の変容の実相を明らかにする研究である。この研究に関してはドイツに複数回の研究調査を行い、近代以降の記念碑、とくに戦争記念碑を多く訪ね、史料を収集してきた。その史料を駆使して、単著を準備してきた。 第三はドイツにおける反ユダヤ主義の歴史的変遷を分析することによって現代社会の時間/空間の形成と変容を分析してきた。とくに、反ユダヤ主義がドイツ国民を形成するうえで重要な役割を果たし、反ユダヤ主義の変容がドイツ国民とそれを形成する時間/空間の変容と関わっていることを分析した。この研究に関しては、総括的な論文を研究所の紀要に刊行し、それを中心にして単著をすでにまとめた。この単著は「2023年9月ごろに人文書院から刊行される予定である。 以上の研究を通して本研究課題であるドイツにおける時間/空間の変容の問題にアプローチし、この変容が現代社会にとって政治・社会的に持つ意味を検討できた。
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Research Products
(3 results)