2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K01252
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
坂本 忠久 東北大学, 法学研究科, 教授 (60241931)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 江戸 / 町触 / 都市行政 / 行政法規 / 行政規則 |
Outline of Annual Research Achievements |
周知のように、近世社会においては、司法と行政は未分離な状況であった。そこで、本研究においては、大都市・江戸の行政と法のあり方の問題に焦点を絞りつつ、既に公刊されている多くの史料集を再度調査するとともに、東京の各図書館、文書館等に所蔵されている膨大な「行政史料」を収集し新たに分析するという新たな手法を採用したものである。本研究のために行った予備的調査では、江戸の行政と法のあり方を示す史料は、各図書館、研究機関等に収められている史料群のなかに散在しており、しかもそれらはこれまで分析の対象とされていないものが相当数存在している。 そこで、断片的に残存している上記の史料を丹念に分析し、それらを繋ぎあわせて総合的・網羅的に評価することにより、江戸における都市行政と法のあり方についてその新たな側面に光を当てることが究極の課題となる。そして、そのための具体的方法としては、江戸の「町触」とともに、特に行政法規や行政規則のあり方も視野に入れつつ考察を行ったものである。さらに、行政法規や行政規則の意義とその重要性を確認するとともに、その際に町年寄、与力、町役人等のいわゆる実務役人が果たしていた機能についても検証したのである。実務役人の具体的機能に関する問題も、これまではほとんど取り組まれてこなかった研究上極めて重要な問題であるからである。 上記の研究上の目的と分析によって、都市行政と法の特質、さらにはその運用と施行のあり方の特徴について独自の結論を導き出すことがてきたと考えるものである。
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