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2021 Fiscal Year Research-status Report

自由選挙の原則を理論的に再構成するための棄権の自由の再定義

Research Project

Project/Area Number 20K01282
Research InstitutionRitsumeikan University

Principal Investigator

倉田 玲  立命館大学, 法務研究科, 教授 (20368012)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2023-03-31
Keywords選挙運動の自由 / 表現の自由 / オーストラリア / コミュニケーション / オーストラリア高等法院
Outline of Annual Research Achievements

今年度は,昨年度に引き続き,新型コロナウイルス感染症の国内外の状況にかんがみて,当初(申請時より)予定していた海外渡航による現地調査の実施を見送らざるを得なかったが,文献や資料を蒐集して分析する方法により,とりわけ研究課題の基礎的な部分について研究を進め,その成果の一部として論文(単著)「暗意としての自由」立命館法学399・400号(2021年5・6)号255-291頁を執筆した。オーストラリア連邦においても,選挙運動の自由として行使され,保障されてきた政治的なコミュニケーションの自由が,しかしながら,わが国を含む多くの諸国において保障されてきた表現の自由とは基本構造が相違しており,個人の権利としてよりも,むしろ代議政体の本質に由来する公序として確立されてきたことを,その独特な成り立ちの軌跡を追跡して考察した。わが国やアメリカ合衆国の最高裁判所に相当するオーストラリア高等法院の憲法判例の展開を辿ることにより,一般的な表現の自由を明文化しようとする改憲案が最近まで幾度か登場してきたオーストラリア連邦には,それを必ずしも要しない程度に確固として保障されている公序としての自由が憲法の暗意として保障されていることを,実態として解明した。アメリカ合衆国最高裁判所の近年の判例における棄権の自由の実質的な否定に着目した昨年度の研究成果と合流させることにより,自由選挙の原則を理論的に再構成するという研究課題の遂行を進捗させるための準備を調えたが,米豪に顕著な知見を統合して小括する作業は,当初の予定どおり最終年度となる来年度に持ち越している。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

今年度も,昨年度に引き続き,新型コロナウイルス感染症の国内外の蔓延状況により,やむなく予定していた海外渡航による現地調査の実施を見送ることになってしまい,もっぱら文献や資料を蒐集して分析する方法により研究を遂行しなければならなかった。このため申請書に盛り込んでいたとおりには今年度までの研究を遂行することができておらず,予定どおり執行することができていない旅費についても,やむなく未執行の状態が継続している。

Strategy for Future Research Activity

オーストラリア連邦において憲法に明記されていない政治的なコミュニケーションの自由が憲法の暗意として保障されてきた公序であることは,アメリカ合衆国においても棄権の自由を実質的に否定する憲法判例が登場していることと対照すると,両者の接点を理論的に再構成するところには,純粋な自由の権利ではなく,さりとて立法政策の所産であるのにとどまるものではない憲法規範を浮かび上がらせることができ,それにより投票権としての選挙権と選挙運動の自由を統合的に説明して,自由選挙の原則を理論的に再構成することができるのではないか,という仮説の検証を進捗させ,研究成果をとりまとめる予定である。そのための方策としては,是非とも見送り続けてこざるを得なかった現地調査を実施したいが,新型コロナウイルス感染症の蔓延状況が終息,収束しない場合には,この研究方法の採用を断念しなければならないことも想定される。このような場合には,やむなく旅費を執行しない方法により研究を推進することになるが,それでも昨年度から今年度にかけて代替的な方法により遅滞しながらも進捗してきたので,その成果をとりまとめる。

Causes of Carryover

新型コロナウイルス感染症の国内外の蔓延状況にかんがみて,予定していた海外渡航による現地調査を実施することができておらず,このため旅費を執行することができていないため,昨年度に引き続き,今年度も多額の未執行が発生しているが,翌年度には,当初の予定のとおり,旅費として執行する。ただし,新型コロナウイルスの蔓延状況が終息,収束しない場合などには,これまでと同様に,もっぱら代替的な方法により研究を推進するほかないので,所定の手続により旅費を物品費に変更して執行することにより,研究課題を遂行する。

  • Research Products

    (1 results)

All 2022

All Journal Article (1 results) (of which Open Access: 1 results)

  • [Journal Article] 暗意としての自由2022

    • Author(s)
      倉田玲
    • Journal Title

      立命館法学

      Volume: 399・400 Pages: 255-291

    • Open Access

URL: 

Published: 2022-12-28  

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