2021 Fiscal Year Research-status Report
比較憲法論の世界的多様化時代における日本憲法研究の国際的再定位に関する総合的研究
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20K01295
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
新井 誠 広島大学, 人間社会科学研究科(法), 教授 (20336415)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 順太 獨協大学, 法学部, 教授 (20382690)
小谷 順子 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (40359972)
横大道 聡 慶應義塾大学, 法務研究科(三田), 教授 (40452924)
徳永 貴志 和光大学, 経済経営学部, 教授 (50546992)
Serverin Simon 上智大学, 外国語学部, 准教授 (50817997)
木下 和朗 岡山大学, 法務学域, 教授 (80284727)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 憲法学 / 比較憲法 / 日本学 / ジャパノロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
本年(2021年)度は、昨年度に引き続き、各研究者が、各研究領域、分担に沿った研究を継続的に行うこととした。もっとも、本年度もまた、新型コロナ・ウイルスのまん延により、当初の研究計画に示されていた国内外における調査活動が制約された面もある。そうしたなかで、本研究課題に参加する研究者が、各自の研究を遂行した。 また、本研究課題に参加する研究者間での研究打合せ会を開催し、お互いの研究状況と将来の計画について確認することができた。 加えて、本研究の途中でありながらも、グローバル化が進んだ現代における(日本)憲法研究の意義に関する著書の出版において、本研究に参加するメンバー数名が、本件研究課題に関する研究論文を掲載することができたことは、本年度の特筆すべき研究成果として挙げることができる。同書においては、研究分担者の横大道や岡田がグローバリズム立憲主義をめぐる諸問題を扱う中での今後の日本憲法研究の行方について考察する。また、研究代表者の新井はグローバル化のなかの民主主義論について検討し、研究分担者の徳永は同じくグローバル化のなかの議会の検討を通じて、国際的アクターとしての国内議会のあり方について考えている。こうした試みは、国際的な公法の相互理解が進む中で、各国の議論の役割が改めて重要になる契機となりうる。さらに研究分担者のサルブランは、「日本憲法学におけるグローバリズム」を検討しており、そのなかで日本憲法学自体の海外への開放を促すことを求めている。以上の検討は、日本憲法学を国際的な視点から再定位するための重要な指摘を行うことに繋がっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究計画では、当初より、諸外国の日本学研究者等に対する面談・調査を実施する予定であったものの、本年度もまた、新型コロナウイルスのまん延防止のため、国内外への出張が制約されたこともあり、そうした調査研究が実施できなかったことが、本研究の進行にとっての大きなダメージとなっている。そこで基本的には本研究課題に参加する研究者による個別研究を進めることになった。 他方で、そうした状況にもかかわらず、研究代表者と分担者との間では、相互連絡や研究打合せなどを実施することにより、各自の理論研究についても一定程度進めることができた。さらに「研究実績の概要」でも述べたように、2021年度には、本件研究課題に関する書籍において、本研究課題に参加する研究代表者、分担者の合計5名が自身の論稿を公表することができたことから、研究の途中の過程でありながら、一定の研究の公表ができたことは特筆できる(なお途中での研究成果の公表についても当初計画に挙げていた)。こうしたことをふまえて、調査研究の実施が遅れていながらも、一定の研究とその公表を進めることができたので、「(3)やや遅れている。」に分類をした。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究計画では、当初より、諸外国における日本学研究者等に対する面談・調査を予定していたため、国内外への移動が一定レベルで可能になった場合には、そうした研究者への面談・調査を実施し、そのことを踏まえた成果公表を目指したい。 もっとも、新型コロナウイルスを理由として諸外国への移動がいまだ不透明なことに加えて、ロシア・ウクライナ情勢を理由とする渡航困難事態も生じているところである。そこで、そうした事態から海外に出向くことが難しい場合については、当初の研究計画を一部変更し、各研究者の個々の研究遂行を一段と進めていくほか、在日外国人の日本学研究者への面談・調査などを実施し、海外渡航をした場合と同様の成果を得られるように努力したいと思う。 以上のような課題があるものの、引き続き各自の研究を進めつつ、日本国内における研究者をゲストとして招きながら、研究会(シンポジウムなどでもよい)の実施を検討したい。また、本研究課題に関する諸論稿を仕上げていきたい。
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Causes of Carryover |
【次年度使用額が生じた理由】本研究課題では、当初、国内外における研究調査などを予定していたものの、新型コロナウイルスのまん延とその防止対策のため、海外渡航、国内移動が制約される事態が生じた。そのため、特に旅費についての執行がほとんどできなかったことが、次年度使用額が生じた理由として大きい。 【今後の使用計画】本研究課題では、引き続き国内外における研究調査などを予定している。新型コロナウイルスのまん延防止を理由とする国内外の移動制限もやや緩和されるように感じられるなかで、今年度は、そうした国内外への移動を伴う研究調査活動を実施していきたい。ここではそれを今後の主要な利用計画として挙げておく。もっとも万が一そうしたことが難しい場合を想定し、海外渡航が難しい場合には、少なくとも国内での研究活動を活発にして、研究課題の全体的な遂行を意味ある形で進めていきたい。そのために国内移動や関連文献の入手などに追加的に費用を充てることも考えている。
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Research Products
(2 results)