2020 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of Process towards Amicable Settlement in the Proceedings of Arbitration or Mediation on International Business Disputes
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20K01319
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
道垣内 正人 早稲田大学, 法学学術院(法務研究科・法務教育研究センター), 教授 (70114577)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 仲裁 / 調停 / 和解 / 日本商事仲裁協会 / インタラクティヴ仲裁 / 心証開示 / 多段階紛争処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本商事仲裁協会(以下「JCAA」)の2019年の商事仲裁規則・インタラクティヴ仲裁規則・UNCITRAL仲裁規則のうち、前二者の規則について、また同協会の2020年の商事調停規則についての研究を行った。 仲裁については、JCAAの商事仲裁規則は、外国の他の仲裁機関の規則と比較して、他の規則にはないいくつかの規定を有している点で特徴的であること、その理由は、仲裁人や代理人が仲裁の進め方について異なる常識を有していることにあり、実際、仲裁に関する常識にはかなりの違いがあることが確認された。例えば、仲裁人がその式命令下にある弁護士に仕事を手伝わせることがあるところ、このことについて当事者の同意を得る必要があるか否かについて、JCAAの商事仲裁規則はデフォルト・ルールとしては禁止し、手伝わせる場合にはその内容・条件等を当事者に開示し、その同意を得る必要があることとしているところ、実際、当事者の同意なく手伝わせることができると考えている仲裁人が存在する。 また、インタラクティヴ仲裁規則については、商事仲裁規則の持つ特徴に加え、仲裁人による手続過程での2回の心証開示の義務付けという特徴を有するところ、そのメリットとディメリットについて研究を開始した。 他方、JCAAが従来有してきた2つの調停規則を一本化した2020年の商事仲裁規則について、調停が持つ紛争解決手段としての有用性について研究を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究プロジェクトでは、仲裁・調停による国際ビジネス紛争解決の時間的・経済的コスト及び実効性の程度を踏まえ、当事者が和解による解決を選択するプロセスを解析して一般理論の構築を目指しているところ、現在までのところ、日本商事仲裁協会(JCAA)の内側から仲裁及び調停の規則制定及びその規則のもとでの実際の案件処理を通じて、現実の紛争が解決に至る過程を研究しているところである。 帰納的研究は当然のことながら時間を要するため、まだ全体の見通しはつかないが、おおむね予定を通りの研究ペースであると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
日本商事仲裁協会の事務局から仲裁・調停の実際の動きを観察することができる状態にあるうちに、できる限り現実の紛争解決の進み方を観察して、机上の空論ではなく、現実を踏まえた研究を行っていきたいと考えている。 特に、インタラクティヴ仲裁規則に基づく仲裁手続の実際の進行の仕方についての研究に注力したい。
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