2020 Fiscal Year Research-status Report
RF型及びGPS型電子監視を使用した、ストーカー被害者の保護システムの構築
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20K01355
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Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
甘利 航司 國學院大學, 法学部, 教授 (00456295)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 監視 / GPS / ストーカー / 処遇 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度は、海外での実態調査を予定していた。ところが、コロナ禍により、そういった作業の全てが行えなくなってしまった。また、同様に、本年度はCEP(ヨーロッパ保護観察協議会)主催の電子監視の学会があるはずであったが、それも延期となり開催されなかった(なお、次年度である2021年度の実施もほぼ不可能な状態となっている)。そして、同学会においては、欧米の多くの研究者実務家から各種データを受け取ることができるはずであったが、それらがうまくいかなくなってしまった。以上のことから、本研究の実態的な分析に関しては、スタートはやや躓いている。 しかし、GPS型電子監視についての文献上の研究を進めることができた。特に、欧米の各種法律雑誌における議論を網羅的に参考にすることができた。そして、日本での法制審議会における議論と歩調を合わせて、研究代表者なりに(緊張感をもって)未決領域におけるGPS型電子監視の研究を進めることはできた。そして、2020年12月までの同審議会の議論に対し、研究代表者なりの批判的な論考を公刊することができた。その意味で、文献上の研究はあまり問題なく進んでいると言える。 以上の研究で、未決領域一般でのGPS型電子監視については批判的なスタンスを確保することとなった。そして、私見が確立されたことから、次年度から、暴力を伴ったストーカーの事案(特に未決領域)の研究をする足掛かりは確保されることとなった。あとは、どれだけ実態調査を行えるかということとなっている。 なお、本研究は、ストーカーの問題を扱うところ、その問題についての資料等の収集はかなり順調に進んでおり、更に、刑罰(及び制裁)制度のヨリ根源的な分析も進んでおり、来年度以降の分析の足掛かりも十分である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍により、海外での実態調査が全て頓挫してしまった。また、本年度はCEP(ヨーロッパ保護観察協議会)主催の電子監視の学会があるはずであったが、それも延期となり開催されなかった。そのため、欧米での各種実施データを集めることができなかった。本研究の実態的な分析に関しては、スタートは遅れている。 もっとも、以上の反動で、GPS型電子監視についての文献上の研究を進めることができた。特に、欧米の法律雑誌における議論を網羅的に収集することはできた。また、海外の研究者の方々に資料をご教授頂いたりして、多くの文献を知ることができた。更に、今まであまり収集してこなかったストーカー関連の文献の収集はかなり進んだと言える。その意味で、文献上の研究はあまり問題がない。 以上より、実態調査の遅れと、文献上の研究の進展があり、プラス・マイナスを見てみると、「やや遅れている」ということとなると思われる。コロナの終息がなければ、実態調査(特に現地でのインタビュー調査)ができないため、それは今後深刻な問題となってしまうという危惧感を持っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は実態調査が必要となる。既に遅れが生じているが、アメリカでの実施とスペイン・ポルトガルでの実施に関する調査は早めに行いたいと考えている。 そして、実は、本研究のテーマに関しては、一般的には「ネット=ワイドニング」の問題はないとされてきた。しかし、電子監視についての著名な研究者であるレンゼマは、とある論考で、ネット=ワイドニングの問題はないのか疑問であるということを指摘している。レンゼマ自身は、(従来において彼がしてきたような)実証的なチェックをここで展開する訳ではない。しかし、そのような問題を、本テーマの碩学が示していることから、本研究でも重要な問題の指摘として、適切に分析を行っていきたいと考えている。これは文献上はまだ登場していないので、私なりに実態調査から統計的な解析結果を示したいと考えている。
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Causes of Carryover |
書籍等の購入をすすめ文献上の研究を進めた。ところが、コロナ禍により、海外での実態調査(そして国内での研究会等への出席)が全くできなかった。そのため、旅費は正に手つかずとなってしまっている。
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Research Products
(1 results)