2021 Fiscal Year Research-status Report
家族法における比例原則ー家族への法的介入に関する研究
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20K01403
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
鈴木 博人 中央大学, 法学部, 教授 (90235995)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 里親 / 里子 / 養育権 / 親権 / 親の配慮 / 養育委託 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度もコロナパンデミックの影響で、本研究で予定していたドイツでの調査・研究を実施することができなかった。そのため、国内での文献研究を行った。 本研究は、家族法領域での比例原則の適用を日本法と主にドイツ法を比較法的に対照するものである。家族法のうち親権法(ドイツ法では親の配慮法)および親権と密接に関連する養子法領域が主たる分析対象である。2022年度は、前年度の研究成果に加えた研究を継続するとともに、次の新たな問題にも取り組んだ。すなわち、外見上は、私的な親子関係と見える里親里子関係の法的分析に着手した。里親里子関係は、私人である里親が、行政(福祉機関:日本では児童相談所、ドイツでは少年局)から要保護児童を委託されて、当該児童の家庭養育を行うものである。このとき里親はどのような権限をもって里子として委託された子を養育しているのであろうか。一般的には要保護児童の養育は施設よりも家庭で行われることが望ましいとされている。確かにその通りであるが、里親と里子の法的関係、里親と福祉機関の法的関係、里子と福祉機関の法的関係、実親と里子の法的関係、実親と福祉機関の法的関係、実親と里親の法的関係がどうなっているのかは、とりわけ日本法では明解とは言い難い。 以上のような法的に必ずしも明解とは言い難い点について、日本法での里親の私法上の権利について(日本民法上、里親に関する規定は存在しない)、日本法の判例分析を行った。その結果、日本法においては、里親には実は私法上の権利は与えられていないということを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究計画にしたがって、文献研究は進めているが、計画しているドイツおよび日本国内での福祉機関を訪問してのインタビュー調査が、2020年度、2021年度2年間にわたって実施できなかった。文献研究は進めているが、上記調査を実施できなかったということは、調査結果分析も行えなかったということであり、その点で研究は計画より遅れていると言わざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度のおいては、コロナパンデミックの状況も改善するのではないかと思われる。世界的に状況が改善すれば、計画より遅れている福祉機関調査を実施する。合わせて、2020年度・2021年度に行ってきた問題を継続的に分析する。また、比例原則を民法に直接規定したドイツ法の立法経緯、理由を解明することを目指す。
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Causes of Carryover |
コロナパンデミックの影響により、ドイツおよび国内での福祉機関調査を実施できなかった。そのため、調査結果分析のためのアルバイトを雇用することもなかった。次年度においては、まずは滞っている福祉機関調査のために主たる予算を使用する予定である。
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Research Products
(2 results)