2022 Fiscal Year Research-status Report
家族法における比例原則ー家族への法的介入に関する研究
Project/Area Number |
20K01403
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
鈴木 博人 中央大学, 法学部, 教授 (90235995)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 比例原則 / ドイツ基本法 / 基本法6条 / 親の権利 / 国家の介入 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画で予定していた海外調査は、実施予定時期に日本での新型コロナ感染者数が増大していたため、訪問先の担当者と協議して、2022年度の訪問をとりやめた。この結果、比例原則に関する国内文研研究を中心に研究を進めた。 具体的には、ドイツ基本法6条について全体的な構造理解に基づき、そのなかで比例原則がどのような役割を果たすのかという点について探求した。ドイツ基本法6条は、基本法制定以後改正を経ていない規定である。また、全5項にわたって、婚姻とは何か、家族とは何かといった根本的な概念定義をめぐる問題から始まり、古典的な自由権および国家権力に対する防御権が規定され、親の権利規定、さらには具体的な母性保護および非嫡出子差別禁止が規定されている。基本法6条が規整している領域には、社会的に新しい現象が認識されたり、従来タブー視あるいは否定的評価を受けていたことが社会的に認識され、公認されるに至る事柄が数多く存在する。これらのいわば新しい現象が基本法上どう位置づけられているのかを確認した。その上で、基本法上防御権の対象となる婚姻、家族に国家がどのように、またどんな場合に介入できるのかについて、連邦憲法裁判所の判例の分析に着手し、なおこの分析を継続中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の研究期間は、ほぼ新型コロナウィルス感染症でなんらかの制限が加えられていた期間と重なっている。そのため、ドイツでの訪問調査を実施できなかった。2022年度に訪問調査を予定した時期は、ちょうど日本での感染拡大期であったため、調査先の受け入れ教授と相談の上、調査の実施を延期した。児童施設等の現場の担当者への聞き取りも予定していたがそれを行うことができなかったことに起因する。。
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Strategy for Future Research Activity |
①連邦憲法裁判所の判例分析を網羅的行い、家族への介入に関して比例原則がどのように機能しているかの分析を継続する。 ②比例原則に関する有力学説を整理し、①に記した判例分析と照合・整理する。 ③ドイツへの現地調査を行い、子の福祉の確保と親の権利の尊重という対立が見られる場合に、福祉機関はどう対応しているのかを明らかにする(裁判になる前に福祉機関は、子をどのように養育し、親にどのように対応しているのかの解明)。 ④③で記した段階を踏まえて、福祉機関が法的介入のために踏み切るのはどういう場合かを調査する。 ⑤以上を踏まえた総合的な総括を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナの感染状況を勘案して(訪問先との協議)ドイツへの訪問調査を行うことができなかったため、それに関連する経費を使用しなかった。また、円安傾向を勘案して、次年度の調査旅費確保を勘案した。ここでいう経費とは、調査旅費(宿泊費を含む)、調査結果を整理するアルバイトの雇用費等をいう。 2023年度においては、ドイツ調査を行うことに伴う経費が最も大きな予算執行となる。そのほか、調査報告を踏まえた総括報告書の印刷代および電子書籍購入費としての執行を予定している。
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Research Products
(4 results)