2021 Fiscal Year Research-status Report
New Types of Contracts in the Digital Age
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20K01436
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
馬場 圭太 関西大学, 法学部, 教授 (20287931)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | デジタル・コンテンツ / デジタル・サービス / 契約適合性 / 個人データ / EU指令 / 消費者契約 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、当初の予想を超えて研究を著しく進展させることができた。 (1)昨年度はデジタル・コンテンツ=デジタル・サービス供給契約の効果を中心に研究を進めたが、本年度はこれをさらに深化させ、契約解消後の原状回復の場面における個人データの取扱いに重心を移し、集中的に研究を行った。その暫定的な成果を論文として公表した。 (2)4月から消費者庁の客員主任研究官に就任し、同庁の官僚の方々と協働して研究を進めることができた。これが本研究の大きな推進力となった。海外渡航が依然として困難であるため、本年度も海外出張を行うことはできなかったが、その代わりに、消費者庁の協力により、海外の第一線の研究者や諸外国の立案担当者とオンラインでインタビューを行い、指令(EU)2019/770および2019/771に関する貴重な調査を行うことができた。非常に効率的に多数の重要人物に対してインタビューすることができたことは、オンラインの大きな恩恵であると考えている。これらも後日成果として公表する予定である。 (3)同志社大学デジタル法制研究センター(代表:川和功子教授)の創設に参画し、その運営に関わるとともに、共同研究を行った。そこでは、デジタル・コンテンツ=デジタル・サービス供給契約だけでなく、広くデジタル・プラットフォーム法制や個人データ法制等を対象とする研究を行っている。同センターでは、研究者間の研究活動を通じてデジタル法制研究の意義や可能性を探り、その成果を広く普及することを目指している。その中に、本研究が組み込まれている。 上記のように、個人研究を進めると同時に、共同研究に参画し、その成果を積極的に公表することで、デジタル・コンテンツ=デジタル・サービス供給契約の理論上および実務上の重要性が一般に認識され、浸透しつつある印象を受けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では海外に渡航してインタビューを行うことを想定していたが、周知のように現時点でそれを行うことは困難である。しかし、各方面においてコロナ禍への対応が進んだことにより、オンラインでの海外調査を極めてスムーズに進めることができた。これにより時間を効率的に活用することができただけでなく、内容的にも充実した調査を行うことができた。間接的には、本研究以外の対面活動が制限されたことが研究時間の確保に貢献した面もある。そのような事情が複合的に作用した結果、短期間に研究が大きく進展したと考えている。もっとも、対面活動が制限されたことにはデメリットもあり、本年度のような研究活動のあり方が理想的と考えているわけではない。それらのデメリットの部分は、対面活動が緩和されていく中で今後補っていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
研究が想定以上に順調に進展しているので、基本的に現在の方向性を維持・発展させていく予定である。海外調査については、コロナ禍に加えてウクライナ情勢の悪化により見通しの立たない状況が続いているが、今年度の活動で獲得したオンライン調査のスキルを活用して研究を継続することが可能であると考えている。 幸いなことに、次年度も、本研究の成果を公表する複数の機会が予定されている。そこでしっかりとした成果を示していきたい。
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Causes of Carryover |
本年度も海外および国内の出張を行うことができなかったため,予定した予算に余りが生じている。海外渡航や国内の移動が可能になれば,来年度執行する予定である。その他の部分については順調に執行することができているので,来年度も予定通りに執行する予定である。
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