2023 Fiscal Year Annual Research Report
政治的インプットにおける《不》平等が有権者の意識と行動に及ぼす影響
Project/Area Number |
20K01465
|
Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
今井 亮佑 崇城大学, 総合教育センター, 教授 (80345248)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 無投票 / 道府県議会議員選挙 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、政治的インプットにおける《不》平等の一形態である「道府県議会議員選挙における無投票」が生じるメカニズムに関する、選挙区単位の集計データを用いた研究を行った。本研究では特に、道府県議選の選挙区の中で7割ほどを占める、定数と同数の現職が出馬するという状況において、非現職が出馬するか否かを左右する要因は何かに焦点を当てた。その際に着目したのが非現職の「当選可能性」である。そして、統一地方選挙の一環として選挙が行われる41道府県議選を対象に選挙区単位のパネルデータを作成し、分析にかけたところ、定数と同数の現職が出馬していたとしても現職を破って議席を奪う可能性が高ければ、非現職が立候補するため無投票にならず、その可能性が低ければ、非現職が立候補しないため無投票になるということを示唆する結果が得られた。 研究期間全体としては、この他に二つの成果を得た。 政治的インプットにおける《不》平等の一形態である「一票の較差」に関して、一票の重みが重い選挙区選出の議員に比べ軽い選挙区選出の議員の方が、議会での投票に際し「支持者の意見にそって投票すべきである」と考え、また政策過程における自身の影響力は強いと認識している傾向があることを、14道府県議会の議員を対象とした調査の分析を通じて明らかにした。 また、2019年統一選時に道府県議選が行われた41道府県の有権者を対象に、2021年に実施したWEBパネル調査の分析を通じて、道府県議選で選挙戦が行われた選挙区の回答者に比べ無投票に終わった選挙区の回答者の方が、「道府県議選では大勢の人々が投票するのだから、自分一人くらい投票しても、しなくても、どちらでもかまわない」という意見に賛成するという傾向を確認した。無投票に終わったことで、道府県議選で投票することの意義を見出せなくなっていることを示唆している。
|