2022 Fiscal Year Annual Research Report
ポジティブ政治心理学の理論と実証――政治システムと心理的ウェルビーイングの関係
Project/Area Number |
20K01469
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小林 正弥 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 教授 (60186773)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石戸 光 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 教授 (40400808)
李 想 (李想) 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 准教授 (20722143)
木下 征彦 日本大学, 商学部, 准教授 (10440025)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ウェルビーイング / 価値観変化 / ポジティブ心理学 / 政治心理学 / 正義 / 公正 / 市民性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度には、ポジティブ政治心理学の枠組みに基づき、2020年6月・2021年3月の調査を分析し、ウェルビーイングの測定に基づいて、経済的状況と身体的・心理的健康とが関係していることを明らかにした。また健康格差には、生物学的要因などに加えて社会的要因が大きな役割を果たしており、後者の中に政治的要因が存在し、公正・正義の存在(主観的認識)が、コロナ禍によるウェルビーイングの低下を抑制する効果をもったことを実証した(心理的健康に関して小林・石戸らによる英語論文が公表された)。 また小林は、2021年10月の調査も加えて、ウェルビーイングの変化の要因について、システム論に即して分析し、正義・公正や市民性などの政治的要因がウェルビーイングの水準や気分の変化(明暗)に影響を与えたことを実証した。この論文は邦語に続いて英語でも公表される予定である。 さらに、研究グループ全体で、2022年7月の参議院選挙に際しては、2021年度の衆議院選挙時と類似した調査を行い、クライエンテリズムやポピュリズムなど比較政治学や政治文化に関する調査項目を導入し、選挙分析を開始した。I.プリレルテンスキーやL.アンガーを招いてオンラインセミナーを開催し(2022年7月、2023年3月)、前者は活字化した(2023年2月)。 研究期間全体を総括すると、ポジティブ政治心理学を理論的に提起し、国際的に大きな反響を得たこの理論に基づいて4回の調査と分析を行って、理論モデルの妥当性を実証した。政治的インプットに関しては、ウェルビーイングと選挙結果の関係が存在するという初期的分析結果を明らかにした。政治的アウトプットに関しては、経済的・社会的要因と比較しつつ、正義・公正などの政治的要因がコロナ禍におけるウェルビーイングと関係していることを明らかにし、特に心身の健康については詳しく分析して日英双方の言語で公表した。
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[Book] アフターコロナの公正社会2022
Author(s)
石戸光, 水島治郎, 張暁芳, 川瀬貴之, 藤澤巌, 小林正弥, リンジー・オーズ, ジェラルド・モシャマー, ナタナリー・ポスリトン, アフサナ・ベゴム, 韓葵花
Total Pages
200
Publisher
明石書店
ISBN
9784750353890
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