2021 Fiscal Year Research-status Report
利己心と慈愛心―J. プリーストリーとT. ベルシャムにおける科学と宗教
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20K01571
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
松本 哲人 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (70735828)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ジョセフ・プリーストリー / トマス・ベルシャム / 啓蒙 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、ジョセフ・プリーストリーを中心としたユニテリアンの教育思想ならびにユニテリアンたちの共通となった思想的基盤は何であったのかに関する研究を実施。プリーストリーの教育思想を国家論の観点から明らかにする論文を執筆。プリーストリーの国家と教育の関係及びウォーリントン・アカデミーでのカリキュラム案を概観しプリーストリーの教育思想の全体的な特徴を析出した。第1節において本論の問題の所在を明確化し、第2節で教育における国家の消極的な役割について考察し、教育分野に対する国家不干渉の原則というプリーストリーの基本的な立場を明らかにする。次に第3節において、非国教徒アカデミーの成立背景およびその中でプリーストリーの果たした役割等について論じる。第4節では、プリーストリーが考える非国教徒アカデミーでの教育理念を考察し、国家が保証しなければならない自由としての言論や表現の自由を取り上げる。そのような保証がなければ、全ての人々への知識の伝達経路は寸断されてしまうというのがプリーストリーの教育論の核心だからである。それでは、どのような知識を伝えればよいか。プリーストリー自身はこの中でとりわけ歴史を重要視し、歴史教育の重要性を強調していたのであった。最後に第5節において本論の議論を総括する。 また、プリーストリーならびにトマス・ベルシャムに関してすでに公刊されている著作等を中心に研究を実施した。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の世界的流行を受けて、本来、実施予定であった未公刊の資料の調査等を実施することができなかった。 18世紀後半イングランドにおける教育の重要性やその宗教的要素等を明らかにすることができ、啓蒙と宗教や宗教と経済学の関係性を少しずつ明らかとすることができているように思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の世界的流行を受けて、本来、実施予定であった未公刊の資料の調査等を実施することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
さしあたり公刊された著作に集中し、分析することとしたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の世界的流行により国内移動はもとより国外移動も制限がなされたため
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