2020 Fiscal Year Research-status Report
Global Value Chains and Economic Development: A Firm-level Analysis
Project/Area Number |
20K01622
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
浦田 秀次郎 早稲田大学, 国際学術院(アジア太平洋研究科), 名誉教授 (10185085)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白 映旻 早稲田大学, 国際学術院(アジア太平洋研究センター), 助教 (00844185)
横田 一彦 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (40390819)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | グローバルバリューチェーン / 国際貿易 / 国際投資 |
Outline of Annual Research Achievements |
世界経済においてグローバルバリューチェーンの重要性が高まっている。グローバルバリューチェーンとは生産工程を工程ごとに分解し、各工程を各工程が最も効率的に行える国・地域に配置し、それらの工程を貿易で繋げるようにして形成される生産体系を表している。グローバルバリューチェーンは多くの国々で活動を行っている多国籍企業によって設立されている。グリーバルバリューチェーンの定義によって数値は異なるが、グローバルバリューチェーンが外国企業により形成される共に運営されていると想定するならば、世界貿易の約3分の2の貿易はグローバルバリューチェーンの枠組の中で行われていると考えられる。 発展途上国にとって経済発展を促進させる一つの有効な手段は、発展途上国の地場企業がグローバルバリューチェーンに参加することである。地場企業はグローバルバリューチェーンに参加することで、輸出や輸入を行うことが可能になる。地場企業は輸出によって売り上げを拡大させられる一方、輸入によって外国製の質の高い部品や中間財を使用することが可能になる。そのような活動を通じて、質の高い技術や経営ノウハウを獲得し、生産性を向上させることができる。 そこで問題になるのは、どのようにしたら地場企業がグローバルバリューチェーンに参加できるかということである。2020年度に行った研究では、外資系企業や高い技術能力を持つ企業がグローバルバリューチェーンに参加できる可能性が高いことが分かった。また、開放的な貿易や投資政策、整備されたインフラ、効率的なロジスティクス、高いガバナンス能力を持つ政府などを備えた国で操業する企業はグローバルバリューチェーンへの参加率が高いことも明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先行研究のサーベイやデータ収集を順調に行うことができたことから、研究を予定通り進めることができている。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は、グローバルバリューチェーンに参加した企業が、期待通り生産性を向上させることができたのか、という問題について計量経済学的手法を用いて厳密に研究を進める予定である。 分析に用いるデータは昨年度使用した世界銀行が収集し一般公開されている「Enterprise Survey」を用いる。先行研究のレビューはかなり進めており、今後は、それらの中で計量経済学的に最先端と考えられる手法を用いて前述した問題の解明を試みる。具体的には、傾向スコアマッチングという手法を用いることを考えている。この点について簡潔に説明しよう。グローバルバリューチェーンへの参加による生産性への影響を分析するにあたって、昨年度の分析から明らかになったように、そもそもグローバルバリューチェーンに参加できる企業は生産性が高いという特徴があることから、この点を考慮しないでグローバルバリューチェーンに参加した企業の参加前と参加後の生産性を比較するだけでは、グローバルバリューチェーンへの参加による影響を正確に計測することはできない。そこで、この問題に対処するための方法として傾向スコアマッチング手法を適用することを考えている。つまり、企業によるグローバルバリューチェーンへの参加の生産性への効果を、参加以前において同じような状況にあった企業で参加しなかった企業と参加した企業とを比較することで分析するのである。
|
Causes of Carryover |
支出が予定よりも小さかった主な理由としては、新型コロナ問題が生じたことから、予定していた国内・海外出張が実施できなくなったことである。本年度は、前年度予定していた出張が可能になることが予想されることから、使用額の大きな部分を出張に充てることを計画している。
|
Research Products
(1 results)