2022 Fiscal Year Research-status Report
オープンアクセスジャーナル市場における大手出版社の独占力行使の検証
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20K01663
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
浅井 澄子 明治大学, 政治経済学部, 専任教授 (00329476)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | オープンアクセス / 論文処理料 / ハイブリッドジャーナル / ゴールドオープンアクセスジャーナル |
Outline of Annual Research Achievements |
これまではすべての論文がオープンアクセス論文で構成されるいわゆるゴールドオープンアクセスジャーナルを対象に分析してきたが、2022年度においては、購読ジャーナルにオープンアクセスの選択肢を加えたハイブリッドジャーナルにも分析対象を広げた。 具体的には、ハイブリッドジャーナルとゴールドオープンアクセスジャーナルの論文処理料を推定することで、その決定要因の違いを明らかにし、Information Discovery and Deliveryに 論文として発表した。この論文では、他の要素をコントロールしたのちでも、ハイブリッドジャーナルの論文処理料が高く、これらのジャーナルを発行する大手出版社の独占力が論文処理料の設定に影響を与えていることが示唆された。次に、ハイブリッドジャーナルであるScientometricsを対象に、オープンアクセス論文とオープンアクセスではない論文の週間アクセス数の推移をみることで、アクセスパターンの違いを分析した。その結果は、Publishing Research Quarterlyに論文として発表した。3番目に著者が論文を即時にオープンアクセスとする手段としてのゴールドオープンアクセスジャーナルとハイブリッドジャーナルの選択について、Elsevierのジャーナルを対象に分析した。その結果、著者は論文処理料の水準よりも、ジャーナルの引用指標や転換契約の有無などの非価格要因を重視してジャーナルを選択していることを明らかにした。この結果は、Learned Publishingに論文として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度中に学術雑誌に3本を発表するに至ったので。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は最終年度として残された課題である論文処理料の論文提出への感応度の計測と補助金を得ることや研究者の所属機関が転換契約を締結していることのオープンアクセスの推進への効果についての実証分析を行う計画である。 また、本年度はこれまでの研究成果をとりまとめた書籍を発行する予定である。
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Causes of Carryover |
英文校正の支出を行う予定であったが、残額が大幅に不足したため、2023年4月に発注をすることにしたため。
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