2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K01692
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
鶴見 哲也 南山大学, 総合政策学部, 准教授 (50589364)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 経済発展 / 資源利用 / 持続可能な発展 / 幸福度 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度はまず経済発展と資源利用の関係性について、先行研究のレビューを行い、本研究課題の独自性を確認した。また、研究に必要となるデータを整備していくために、入手可能なデータについて公開されている統計データを整理し、使用するデータについて検討を行うとともにデータベースを構築し、分析の準備を完了させた。さらに、分析方法について検討し、分析手法において先行研究よりも信頼のおける手法を検討することに力を入れ、今後の研究方法の方向性を決めることができた。 加えて、本研究課題に関連して「消費と幸福度の関係性」についての研究を行うことで、資源利用が幸福度上昇につながるような経済発展のあり方を探った。その結果、物質的な消費が幸福度上昇に結び付きにくい状況が明らかとなった。他方でモノを長く大切に活用していくような消費スタイルが幸福度上昇に結び付きやすい可能性を明らかとした。さらに、人と人とのつながりに関係する消費は幸福度に結び付きやすい可能性が明らかとなった。以上のことから、消費の内訳および消費スタイルが幸福度の観点からは重要となることと、資源利用をこの観点から再検討することで幸福度を高めることのできる経済発展を考えていくことができることを示すことができた。したがって、今後の研究では資源利用についてその内訳を考慮に入れることで持続可能で幸福な経済発展のあり方を探っていくことが必要であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先行研究のレビュー及び必要となるデータベースの整備が順調に進み、分析手法についてもおおむね順調に検討をすることができたと考えている。分析手法については先行研究を踏まえたさらなる検討が必要ではあるが、現段階では必要最低限の研究方策は検討できたと考えている。ただし、先行研究を踏まえて、研究の独自性として分析手法を発展させていくことを目指すためにはさらなる統計手法の検討が必要であり、最新の統計手法を本研究課題に適用できるかどうかについて、検討を続けていく必要がある。 加えて、研究における経済学の理論的背景について、検討が若干遅れており、今後、経済学の理論的背景について検討が必要であると考えている。 また、関連研究として「消費と幸福度の関係性」の研究を進めることで、消費の内訳によって消費が幸福度に及ぼす影響が異なることを明らかにすることができた。このことから、資源利用の内訳を今後の研究の主たる検討材料とするという今後の研究の鍵となる方向性を構築することができたことは研究の大きな進展であると考えている。すなわち、資源利用を資源の内容で分類することを本研究の独自性としていくことの重要性が確認できたと言える。しかし、どの程度各国が資源を消費しているのかについては資源を分類した場合にはデータが限られており、この意味でデータ整備において課題が残っている。引き続き入手可能なデータについても検討を続けていく必要があると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
先行研究を踏まえて、分析手法についてさらなる検討を行っていく必要があると言える。そのために、関連先行研究に引き続きあたることに加えて、最新の統計手法を本研究課題に適用可能かどうかについて検討を続けていく。また、新たに公刊される研究の確認を怠らず、先行研究の整理を引き続き行っていく。データについても新たに入手可能となるデータが存在しないか、随時検討を行うこととしたい。特に資源利用の内訳を検討するためのデータを探しより優れたデータベースを構築すること、さらには資源利用の内訳を考慮した経済発展と資源利用の関係性について明らかにするための最新の統計分析手法を駆使する方策を検討したい。加えて、経済学の理論との関係性を明らかにするために、関連文献にあたっていきたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの流行のため、当初、学会発表や研究打ち合わせで使用する予定であった旅費を支出できなかった。次年度以降、研究発表や研究打ち合わせを実施していきたい。 また、同じくコロナ禍でリサーチアシスタントに研究補助を担ってもらうことが難しく、人件費・謝金を支出することができなかった。次年度以降、研究補助業務への支出を行っていきたい。
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Research Products
(5 results)