2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K01732
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
小島 寛之 帝京大学, 経済学部, 教授 (30328083)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅野 貴央 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (40423157)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 不確実性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年-2022年度の研究計画に基づき、以下のような研究を行った。 1.Asano and Kojima (2021) を国際的学術誌に投稿した。この論文はShaferタイプのbelief functionを特徴づける数学理論であり、確実性等価概念のナイト流不確実性理論への拡張に対応するものである。医療サービスは人々の生命やQOLに関わるため、通常の財・サービスとは異なる性質を持っている。したがって、医療サービスへの選好は、ナイト流不確実性に属するものと言える。この論文は、医療サービスの制度設計の評価に関して、一つの基準を与える礎となり得る。2. 2021年8月に日本細胞移植学会にて、研究責任者が「社会的共通資本としての医療について」と題する基調講演を行った。これは、宇沢弘文の提唱した「社会的共通資本の理論」を医療サービスに応用する方向性を示す講演である。とりわけ、研究責任者が本事業で研究を進めている「医療ベース資本主義」の構想を医師たちに向けて発信する重要な機会となったことを特記する。3. Asano and Kojima (2021)の応用として、Chateauneuf et al.(2007)が提唱したNeo-additive capacityの別証明を完成した。この選好は、極端な結果に強い反応を示す選好であり、医療サービスに関する人々の行動を説明できる。我々はこの選好を、uncertainty lovingとuncertainty averse に関連付ける公理群と、確実性等価に関連付ける公理群という、二つの公理群を発見し、この選好の新しい経済学的な意味付けを与えたと評価できる。論文はほぼ完成しており、国際的学術誌に近日中に投稿する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルスの影響により、対面による研究打ち合わせが大きく制約され、想定通り研究は進展しなかった。一方で、日本細胞移植学会の基調講演で、「社会的共通資本としての医療について」と題する基調講演を行った。研究成果を報告できたことは大きな進捗であった。さらにbelief functionおよびNeo-additive capacityに関する研究を進展させたため、このように自己評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度については、オンラインを使った研究交流を利用しながら、前年度までに得られた研究成果を踏まえた上で、複数の研究を進展させる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスによる国内外の出張取りやめ、学内業務及び他の科研費との関係から、次年度以降に執行した方が適切と判断したため。 (使用計画)ワー クステーションの購入費として適切に執行する予定である。
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Research Products
(2 results)