2022 Fiscal Year Annual Research Report
超小型株の影響を考慮した日本市場における資産価格の実証分析
Project/Area Number |
20K01746
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山根 明子 広島大学, 人間社会科学研究科(社), 准教授 (60580173)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ファイナンス / 超小型株 / バリュープレミアム / モメンタム |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、モメンタムに関する分析を中心に進めた。モメンタムの研究で一般に用いられるwinner、loserの分類は過去1年間のリターンに基づいて行われる。先行研究ではこの方法を用い、日本ではモメンタムが存在しないことを報告している。そのため、本研究ではGoyal and Wahal (2015)に従い、過去1年間のリターンをrecent past returnとintermediate past returnに分解し、recent past returnとintermediate past returnに基づいてwinner、loserポートフォリオを作成した。あわせて企業規模で分類したポートフォリオも作成し、大型株と超小型株でwinnerポートフォリオとloserポートフォリオの間に平均リターンの差があるかどうか、などポートフォリオのリターンに関する分析を行った。分析の結果、超小型株に対象を限定すると、過去半年間のリターンでソートしたloserポートフォリオの平均リターンはwinnerポートフォリオを上回っていることが確認され、フルサンプル、サブサンプルともに差は有意であった。超小型株では短期のリバーサルが非常に強く働いているのではないかということが示唆され、日本市場全体で見たときに観察されるモメンタムが弱くなっている可能性がある。 ここまでの研究で、金融危機以降のバリュープレミアムの大きさは企業規模と関連していること、モメンタムが日本で観察されない背景に超小型株の強いリバーサルがある可能性があることが示された。しかし、2021年度に実施した企業のファンダメンタルバリューをバリュープレミアムの大きさと関連付ける分析では、期待した結果が得られなかったため、プレミアムが企業規模によって異なる理由は説明できていない。この点については今後の課題としたい。
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